葉山神社(第2回) | 哲風のBLOG

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 「海と社(やしろ)に育まれる楽しい塩竈」を目指している宮城県塩竈市に鎮座する志波彦神社鹽竈神社の神事,四季の移り変わりや,仙台,塩竈,多賀城,松島など宮城県内各地の名所,旧跡,行事などを紹介します。

 7月14日(水),葉山神社(宮城県宮城郡松島町松島字葉山沢)に参拝しました。神社ですが,本尊は薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)とのことです。拝殿・本殿,鐘楼,摂社「小葉山神社」,歌碑・板碑が点在しています。表参道から参拝の際には,JR仙石線・東北本線の列車に十分にお気を付けください。写真で報告します。今日は,その第2回です。

 

 「大願成就 千葉立造」とあります。千葉立造(諱は顕親,号は愛石)は黒川郡粕川村(現・大郷町粕川)出身の医師で,剣豪・明治天皇侍従であった山岡鐵舟と交流し,鐵舟の主治医を務めました。

 

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 「とし波の 五十によりしは 松島の 葉山の神の めぐみなりけり 立造」とあります。

 

葉山神社(13)

 

葉山神社(14)

 

 ここにも「立造」とあります。

 

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 参考のため,志波彦神社(塩竈市一森山)鳥居近くにある千葉立造歌碑を紹介しましょう。表には「我庵の たつる烟は しほがまの 神の恵に つづくとぞおもふ 七十九叟立造」,裏には「家父の舊詠 大正十一年七月 東京 児 千葉真一建 田鶴年刻」とあります。「煙を立てる」とは「生計を立てる」ということですから,立造が79歳の時に,「我が家の今日の繁栄は鹽竈の神のお恵みである。」という和歌を詠み,東京にいた子息(三男)・千葉真一がこの碑を奉納したのでしょう。真一も医師です。

 

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 さて,千葉真一という医師についてです。歴史学者の磯田道史氏(現・国際日本文化研究センター教授)が「日本史の探偵手帳」(文春文庫)に,真一のことを書いています。「明治四十年十月二十七日の時事新報では千葉真一という医師が「すでに百数十名の美人を手術した」と誇らしげに語っている。」(187頁)。「日本橋浜町(現・東京都中央区)の千葉病院」における手術です。何の手術でしょうか。「隆鼻整形」です。「明治末年の隆鼻の術式は「パラフィン注射」が主流であった。パラフィンは…石油由来の石蝋である。…これを熟して注射器に入れ固まったときに押し出しあらかじめ鼻の穴から線香ほどの針を入れてあけておいた皮膚下の隙間に注入して鼻に高さをもたせる手術である。」(186頁)。ただし,美容外科の専門学会ができたのは昭和23年のことで,かつては,鼻は耳鼻咽喉科医が,目は眼科医が整形する体制であったとのことです。真一も明治45年に順天堂大学耳鼻咽喉科長に就任した耳鼻咽喉科医です。