栄光と驀走王
今回も新東宝作品から「栄光と驀走王」(56年)である。「一寸法師」と同じ内川清一郎監督、館岡謙之助脚本だが、メインキャストにかぶりはない。
主演は田崎潤で当時42歳。 基本助演の人なのだが、この当時数本の田崎主演作が存在する。ただ本作に限っては何故田崎主演?という気がするのである。弟役が高島忠夫なのだが当時25歳。年齢設定は不明だが、まあ年の差兄弟というのもあるので、そこは良いとしても田崎は別に若く見えるわけでもないので親子役でも違和感なさそうなのである。田崎の恋人役が筑紫あけみで当時22歳、高島の相手役となるのが新東宝スターレット同期の久保菜穂子(当時23歳)なので、田崎が浮いて見えるのである。
その概要だが、警視庁交通違反係の警官野上修三(田崎)は白バイでの走りがとにかく早く、その姿に惚れ込んだモーター会社の社長伊藤(高田稔)からオートレースの選手になれと勧められたが言下に断った。修三の弟俊介(高島)は、ジャズ作曲家を夢みている。ある日、彼はアルバイト先のキャバレー・ジョーカーで、上京してきたばかりのダンサー鷹子(久保)がバンドマスター安田の毒牙にかかろうとしているのを救ったことから、クビにされた。俊介は彼女を修三の恋人よし子(筑紫)の部屋に泊めて貰うが、その鷹子の発案で、翌日から二人は盛り場の流し芸人になった。鷹子の歌に目をつけたジョー力ーの井筒(細川俊夫)は、甘言で彼女を誘い、俊介は捨てられた。ヤケ酒をあおる弟の姿に心を痛めた修三は、オートレース選手に転向し、ピアノを買ってやった。もと同僚だった四方田(丹波哲郎)を破った俊介は、次の選手権レースでチャンピオンの黒木(泉田洋志)と顔を合わせることになったが、井筒の奸策に陥り、倉庫に監禁されてしまう。だが発走間際に鷹子に救い出され、死力をつくして優勝した瞬間、もんどり打ってオートバイの下敷きとなってしまい…というよいな話だ。
40代(にしか見えない)でオートレーサーに転向というのは、かなり厳しいはずなので、それを考えてももっと若い役者の方が良かったのではと思ってしまうのだ。
泉田洋志は役者でありながら殺陣師も兼ねていた。そのきっかけとなったのが本作の監督でもある内川だったらしい。正確には不明だが、芸名を今清水基二から本作の辺りで改名したようである。
また本作にはダンサー役で前田通子も出演しているが、まだ扱いは大きくない。この三か月後に公開される「女真珠王の復讐」(56年)で、日本映画初と言われるオールヌードを披露し(後ろ姿のみ)、一躍有名となるのである。