縁結び旅行
今回もフランキー堺なのだが、時代は十数年経過する。日活から東宝に移り「社長シリーズ」などに出演。そして次は松竹へ移り、すぐにヒットシリーズとなったのが「旅行シリーズ」(68~72年)である。個人的にはフランキーと言えば、松竹のイメージが強い。全部で11作あるようだが、今回はその中から第5弾「縁結び旅行」(70年)をチョイスする。理由はとりあえず見たからである。タイトルの頭に「喜劇」が付くものと付かないものがあり、本作は付かないようである。勿論、本作も普通に喜劇なのでその基準は不明である。
主演のフランキーが鉄道員であることは共通だが、役名も設定も毎回違う。本作の舞台は播州赤穂駅ということで、フランキーが演じる主人公も赤穂浪士の一人である赤垣源蔵の子孫らしい赤垣源太といい、同駅の旅客係である。ちなみに赤垣源蔵の実際の名は赤埴重賢といい、源蔵は通称で、「忠臣蔵」の物語の中では赤垣源蔵と呼ばれているということらしい。「埴」と「垣」の字が似ているからだろうか。
このシリーズも寅さんではないが、毎回のようにマドンナが登場するが、今回は金井克子(当時25歳)である。当時は彼女単体の人気と言うよりは、西野バレエ団五人娘のリーダー(最年長)としての人気のような気がする。歌手デビューは62年だが、まだ大きなヒット曲はない。大ヒットとなる「他人の関係」は73年の話である。彼女は駅長(長門勇)の娘で郵便局に勤めているという役柄だ。源太は彼女とデートに漕ぎつけるのだが、邪魔しに?現れるのが倍賞千恵子である。今回は特別出演扱いとなっている。
そして、もう一人。シリーズ2作目の「婚前旅行」(69年)ではメインヒロイン役だった野添ひとみ(当時33歳)である。追いかけられる側だったのが、今回は追いかける側に。つまり彼女の方がフランキーに夢中という設定だ。そば屋の店員で、ど近眼のため分厚いメガネをかけている。メガネを外したら超美人というのはよくあるパターンだが、彼女は登場して直ぐにメガネを外し、素顔を見せており美人であることは判明している。しかし、フランキー演じる源太は金井演じるみち代に夢中の為、彼女は眼中にないのである。役名は「おかる」ちゃん。通称だと思われ、松竹のサイトにある解説には「かおる」となっているので、それが本名だと思われる。
ネタバレになってしまうが、最終的に源太はおかるちゃんと結ばれるのである。と言うより結婚する羽目になってしまうという表現の方が正しいだろう。要するに夢の続きと勘違いした源太が「夢ならいいか」と彼女と一夜を共にしてしまうのである。
見ている人は本命じゃなくても、野添ひとみならいじゃないかと思ってしまったりする。これが、今回はフランキーの妹役で出演している悠木千帆(樹木希林)辺りだったら、また違う感覚だろうなと思った。
とまあ、準ヒロインと言える野添ひとみだが、本作での扱いは低めでクレジットも6番手だ。大映のイメージが強いであろう彼女だが、デビューは52年で松竹なのである。川口浩との交際が始まり、彼が親の力(川口松太郎は大映の重役)を使い、彼女を大映に移籍させたのである。そして、60年に二人は結婚する。彼女が松竹作品へ出演するのは前述の「婚前旅行」が十数年ぶりだったのではないだろうか。彼女には双子の姉がおり、それが野添和子で、彼女の付き人を長く勤めた後に大映テレビ室のプロヂューサーに転身するのである。ちなみに、ひとみの本名は元(もと)といい和子は本名なので字面では双子感を感じないと思ってしまった。
他の出演者だが、伴淳三郎、ミヤコ蝶々、大村崑、牧伸二、鶴岡雅義と東京ロマンチカなどである。