紙芝居昭和史 黄金バットがやってくる | お宝映画・番組私的見聞録

紙芝居昭和史 黄金バットがやってくる

最近、日活映画が続いていたので、ちょっと他社を入れて見ようと思い東宝映画で「紙芝居昭和史 黄金バットがやってくる」(72年)である。製作はややこしいのだが、東宝映画であって東宝ではない(配給は東宝)。東宝映画は東宝傘下の製作プロダクションで、その第1回作品が本作なのである。ちなみに、現在はTOHOスタジオという名称になっている。
タイトルだが、ウィキペディアなどでは「紙芝居昭和史」はついていなかったりするのだが、実際のタイトルバックには付いているのでそれに従うことにする。「黄金バットがやってくる」だけだと「黄金バット」にそんな映画あったっけ?ということになりそうだ。有名なのは東映製作の「黄金バット」(66年)であろう。千葉真一が主演だが、ヤマトネ博士役であり、バットの正体というわけではない(そもそもバットは変身ヒーローではない)。アニメと同じ主題歌だが、映画の方が先でアニメは翌67年からの放送なので、アニメの方が映画の主題歌をそのまま使用したのである。実はもう1作「黄金バット 摩天楼の怪人」(50年)という映画が存在していたようだ。過去形なのはこの作品のフィルムは行方不明とかではなく既に存在しないなのだという。監督は新東宝で活躍した志村敏夫で、出演は上田龍児、川路龍子、杉寛、清水将夫、美空ひばりなど。
自分の世代だと「黄金バット」はアニメのイメージで、さすがに紙芝居のバットは見たことはない。そもそも街頭でやっていた紙芝居を見かけたことはあったと思うが、しっかりと見た記憶がない。
さて「黄金バットがやってくる」だが、原作は「黄金バット」の作者でもある加太こうじの自伝的小説である「紙芝居昭和史」である。「黄金バット」の元祖と言える作品は永松健夫「黒バット」の続編として書いたものらしいが、永松が転職した為、加太が代わりに書くようになったのである。その為が前述の東映版映画やアニメでは原作は永松健夫、監修が加太こうじとなっている。加太の本名は加太(かぶと)一松だが、働かない父に反発して尋常小学校時代には「かた」を名乗っていたという。そのまま「かぶと」だったらカブトコウジ→兜甲児で「マジンガーZ」の主人公と同じ読みになっていた。
さて、本作の出演者だが小林桂樹(49)、藤岡琢也(42)、小沢昭一(43)の当時40代トリオがメイン。スタートは昭和10年(1935)となっており、そこから現代(1972)までを描く構成。主人公は小林なので彼が加太だとすると年齢的に無理がある。加太は1918年生まれなので当時17歳で、50手前の小林では無理過ぎる。実年齢より若く見えないし。原作はわからないが、本作では人物設定を変えていると思われる。紙芝居屋の中で一番若そうな石川博演じる片山が加太にあたるのではないだろうか。加太と言えば、水木しげるの師匠としても知られるが、高橋長英演じる若者の役名が茂男といい彼が水木に当てはまりそうである。
他の出演者だが、北林谷栄(やはり婆さん)、紀比呂子、市川和子、小島三児、梅津栄、上田忠好など。