舟木一夫の出演映画 その5 | お宝映画・番組私的見聞録

舟木一夫の出演映画 その5

引き続き、舟木一夫である。
66年のテレビに目を向けると、「銭形平次」がスタートしている。舟木の歌うお馴染みの主題歌はアレンジの変化はあったが18年(888話)に渡って流れることになる。舟木は第3話にゲスト出演したのを皮切りに最終話にも登場したが、全部で7回の出演と意外に少ない。特に394話(73年)の後、最終話(84年)まで出演していないようなので、10年以上の間が空いていたことになる。
平次役は宇津井健、宝田明、里見浩太朗などが候補に挙がり、本郷功次郎で決まりかけた時に、長谷川一夫がTBS系で「半七捕物帳」に出演することがわかり、対抗するには大川橋蔵しかないと急遽変更になったという。長谷川は映画版での平次を多く演じていた。橋蔵も最初はテレビ出演を嫌がっていたという説もあるが、橋蔵自身は会見で「僕のテレビ出演を願うファンレターも多く届いており、時期的にも今が一番いいと思ったので引き受けた」と語っている。制作が東映になったのは「気心が知れている方がいい」という橋蔵の希望である。
話を戻すと舟木はこの66年、石坂洋次郎原作のドラマ「雨の中に消えて」で松原智恵子と主演を務めている。映画の方は63年に日活で吉永小百合、高橋英樹、笹森礼子、十朱幸代らの出演で公開されている。ドラマの方も日活の制作で舟木、松原の他、広瀬みさ、伊藤るり子、杉浦直樹、菅原謙次、川地民夫などが出演している。菅井きんは映画とドラマ両方で同じ役を演じている。主題歌「雨の中に消えて」は「絶唱」のB面に収録されている。映画版は同タイトルの曲を吉永小百合が歌っているが、全く別の曲である。
67年の正月公開が日活「北国の旅情」だ。脚本が倉本聰で、舟木が主演で、ヒロイン役は和泉雅子に代わり十朱幸代である。最終的に十朱は山内賢と結ばれたりする。他の共演者は江戸家猫八、小橋玲子、小園蓉子、高品格、市村俊幸、東野英治郎などで、長山藍子の扱いがまだ小さい。当時の予告やポスターには橘和子(姿美千子の実妹)の姿、名前があったりするのだが、実際本編にはいないのでカットされたということだろうか。主題歌「北国の旅情」は、公開後の3月発売のシングル「星の広場へ集まれ!」のB面に収録されている。作詞は映画を監督した西河克己である。
同じ日活では「夕笛」がある。48枚目のシングルタイトルでもある。昭和初期を舞台とした悲恋もので、ヒロイン役は松原智恵子で、他に島田正吾、小高雄二、細川ちか子、波多野憲、下條正己、風見章子など。芸術祭参加作品でもある。
東映「一心太助 江戸っ子祭り」では、初の時代劇主演を得ている。舟木は太助と徳川家光の二役を演じている。太助と言えば大久保彦左衛門だが、こちらは加東大介が演じる。他に藤純子、里見浩太朗、財津一郎、花紀京、小池朝雄、品川隆二など。
そして東映では「銭形平次」の映画版がある。テレビ版と同じキャストは橋蔵と遠藤太津朗、池信一だけで、お静は水野久美(テレビ版は当時八千草薫)、八五郎は大辻伺郎(テレビ版は林家珍平)が演じている。舟木は平次と共闘する侍役で出演している。ちなみに本作が橋蔵にとって最後の映画出演となったのである。