本郷功次郎の出演映画 その2 | お宝映画・番組私的見聞録

本郷功次郎の出演映画 その2

引き続き本郷功次郎である。59年はあと5本ある。
「鳴門の花嫁」は勝新太郎主演の時代劇。島田竜三、中村玉緒、林成年、青山京子、毛利郁子など。本郷は家老の息子で密使として阿波に向かう役。島田は58~67年ころまで活躍した役者で主演作も何本かあるのだが、詳しいプロフィールは不明である。林は長谷川一夫の息子。
デビューから時代劇が続いていたが、ここで初の現代劇「海軍兵学校物語 あゝ江田島」に出演。しかも主役扱いである。「扱い」としたのは、クレジット上は本郷がトップなのだが、事実上の主役は同期入社である野口啓二と小林勝彦なのだ。野口と小林は12期ニューフェイスに先んじて行われた「俺たちは狂ってない」の出演者募集で採用されているコンビ。ちなみに、ニューフェイス入社の森矢雄二(平林一雄)も出演者の一人であった。野口は主演デビューしながらも、三年ほどで姿を消している。実際、自分も最近までその存在を知らなかったりする。また、本郷と同期の12期ニューフェイスの中に袴光夫という名前が見られる。これは後に放送作家として活躍するはかま満男(本名・袴充夫)のことであろう。当時の年齢も21歳で一致しているし、かぶるような名前でもない。はかまのプロフィールには「大映ニューフェイス」というのは無いようなので、すぐに辞めたか入社しなかったか、ということだろう。
他の出演者だが、石井竜一、仁木多鶴子、根上淳、北原義郎、菅原謙次などでニューフェイスの1年先輩である三田村元に(新人)がついている(出演者はほぼ新人だが)。小林の弟役で「赤胴鈴之助」で主演となる桃山太郎が、またやはり1年先輩の藤巻潤が本名の藤巻公義で出演している。藤巻の本名時代はほぼチョイ役ばかりで、入社は後の本郷が先にスターとして扱われていたのである。
「貴族の階段」はタイトルからは想像しにくいが、二二六事件を背景としており、森雅之、叶順子、金田一敦子、菅原謙次、友田輝、滝沢修、志村喬などが出演している。本郷は近衛の見習い士官で、金田一の兄、その親友の叶に気があるという役。事件には妹に睡眠薬を飲まされ参加できないのである。金田一敦子、叶順子は共に10期ニューフェイス。金田一敦子は言語学者金田一京助の血筋であるが、60年には引退してしまう。
「風来物語任侠編」は日露戦争当時の東京を背景としたメロドラマで「姿三四郎」で知られる富田常雄の原作。主演は長谷川一夫で、小林勝彦、仁木多鶴子、中村玉緒、根上淳、田崎潤、山田五十鈴などが共演。本郷は仁木と恋仲となる苦学生、小林は国会議員の息子だが家を出て社会主義運動に加わる若者で、中村玉緒と恋仲という役。話は逸れるが、本郷は必殺シリーズには一度だけ「暗闇仕留人」に悪役で出演したことがある。悪徳奉行の役だが、その部下の与力を小林勝彦が演じているのだ。大映時代の同期などと当時は知る由もないが、今調べるとそいう繋がりのあるキャスティングは結構あったりする。
「浮かれ三度笠」は市川雷蔵主演の時代劇で、本郷はクレジット二番手の準主役だ。他に中村玉緒、左幸子、島田竜三、新東宝から移籍の宇治みさ子など。