大瀬康一の出演映画 その3 | お宝映画・番組私的見聞録

大瀬康一の出演映画 その3

続けて大瀬康一である。62年は8本の大映作品に出演したようだ。
「誘拐」は高木彬光原作のサスペンスもの。タイトル通り誘拐事件を描いている。主演は宇津井健で、クレジット順では次が万里昌代で、新東宝からの移籍組が1~2番手だ。以下、川崎敬三、大瀬康一、高松英郎、小沢栄太郎、中田康子と続いている。他に根上淳、北原義郎、友田輝、渋沢詩子など。
悪徳金貸しの小沢栄太郎の一人息子が誘拐される。身内からも憎まれているような男で、後妻である中田康子や腹違いの弟である川崎敬三も恨みを持っていた。ちなみに、小沢と川崎は実年齢で24歳差。腹違いとはいえ、兄弟には見えないと思う。この事件はある誘拐事件を参考にしており、その担当弁護士が宇津井健で、その妻が万里昌代である。高松英郎は本事件の担当警部補で、部下の刑事に普段は悪役の藤山浩二や原田詃など。大瀬は広津という役だが、その役柄は不明である。
「雪の降る街に」は、秋田県を舞台にした恋愛ドラマ。主演扱いがよくわからないが、おそらく小桜純子で、続いて高原巧、山崎努、大瀬康一、三津田健という具合のようだ。他に川口浩、渚まゆみ、高松英郎、姿三千子、当銀長次郎など。
高原は地元の野球部で超高校級と言われている投手で、山崎はその兄。大瀬はプロ野球の選手で小桜がその妹だ。小桜は山崎に惹かれるが、山崎は弟をかばって死んでしまうというような話。山﨑はご存知の通り黒澤映画「天国と地獄」の犯人役で一躍雄目になるが、それは翌63年のことだ。60年から映画には準主演級で主に東宝作品に出演しており、この「雪の降る街に」は初の大映出演と思われる。小桜純子は60年代前半に主に大映時代劇で活躍していた女優で、本作のような現代劇出演は少ない。小桜京子とは特に関係はないと思われる。高原巧は詳細不明だが、恐らくニューフェイスで、この62年に三本ほど映画出演の記録がある。すぐに引退してしまった人なのだろう。当銀長次郎は東宝で活動していた当銀長太郎の双子の弟だそうな。
「B・G物語 易入門」は。黄小蛾の小説「易入門」の映画化作品である。「B・G」はビジネスガール、今で言うOLである。ストーリ上は四人のBG(万里昌代、渋沢詩子、宮川和子、加茂良子)が中心となるが、クレジット的には田宮二郎、大瀬康一、竹村洋介、作者の黄小蛾(特別出演)が先のようだ。最終的には田宮と万里が婚約する。大瀬の役は宮川の恋人で株式課の社員。竹村洋介は竹村南海児の名で前年まで活動しており、基本的には端役が多い。70年代後半から80年代に活動していた同名の俳優がいるが、若かったし別人であろう。
「仲良し音頭 日本一だよ」はさサラリーマン喜劇もの。主演は本郷功次郎で、叶順子、大瀬康一、三条江梨子(魔子)が続く。大瀬はTVディレクターの役。他に中村鴈治郎、浪花千栄子、南都雄二、ミヤコ蝶々、中条静夫など。タイトルは「日本一だよ」と「仲良し音頭」という二つの歌のタイトルを繋いだもので、前者は村田英雄、島倉千代子、五月みどりなどで歌っており本作にも「歌手」の役で出演している。また、特別出演として長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎、若尾文子、京マチ子、山本富士子といったスターたちが本人役で出演している。