坂口祐三郎(牧口徹)の出演映画 その3 | お宝映画・番組私的見聞録

坂口祐三郎(牧口徹)の出演映画 その3

今回も坂口祐三郎の牧口徹時代、63年からの続きである。
「柳生武芸帳 片目水月の剣」は近衛十四郎主演の人気シリーズで、本作は6作目にあたる。共演は息子の松方弘樹初め、大木実、桜町弘子など。和崎俊哉が和崎隆太郎名義で出演しており、次作より俊哉に改名している。本作では高倉新八という役だが、第1~2作では十兵衛の弟・又十郎を演じている。牧口の役は「小五郎友行」となっている。
「八州遊侠伝 男の盃」はヤクザ映画っぽいタイトルだが、片岡千恵蔵主演の時代劇だ。共演は千葉真一、鳳八千代、水島道太郎、藤純子、堺駿二、志村喬など。千恵蔵は源次と名乗る旅人だが、その正体は国定忠治で、志村はその実の父親を演じる。当時、千恵蔵は60歳丁度で、志村は58歳。もちろん、志村は老けメイクで臨んだと思うが、通常は普通に千恵蔵が上に見えると思う。役柄は若い千恵蔵だが、若く見えるタイプではない。牧口の役は「亀吉」となっているが詳細は未見なので不明である。
「続・てなもんや三度笠」は人気テレビシリーズの東映劇場版。主演はテレビと同じ藤田まこと、白木みのる、中山道シリーズレギュラーだった香山武彦(花房錦一)。花菱アチャコ、夢路いとし・喜味こいし、大村崑、トニー谷、大宮敏充といった当時の喜劇人も登場する。他に清川虹子、E・H・エリック、ジョージ・ルイカー、製作の東映からは徳大寺伸、吉田義夫、チャンバラトリオの伊吹太郎(当時は幾太郎)、トリオ加入前の結城哲也も顔を見せている。牧口は「新太郎」という清川の息子役で、ストーリー上は中心となるキャラである。ヒロイン役は西崎みち子という60年代前半に活躍していた女優で、牧口と結ばれハッピーエンドとなる。ジョージ・ルイカーはエストニアとアルメニアのハーフだが、日本生まれで56年に帰化しているタレント。「社長シリーズ」などにも出演していたが、66年にオーストラリアに移住した。タイトルに「続」とあるが、前作と繋がりがあるわけではない。2作目という意味合いであろう。
64年になって、転機が訪れる。テレビシリーズ「走れ!左源太」に出演することになり、この際に坂口祐三郎の新芸名を与えられたのである。牧口時代にテレビ出演はなかったようである。主演は坂口とニューフェイス同期である嶋田景一郎で、牧口時代に「七人の騎士」で共演した山波新太郎、朝倉晴子がストーリーの中心となる。少年向けの30分ドラマで、戦国時代を舞台に日本版西部劇として企画された作品だそうである。何しろ資料のない作品で、出演者も前述以外には立川さゆり(松川純子)が判明しているくらい。ちなみに、山波はニューフェイス6期、嶋田と坂口が8期で、立川が9期である。朝倉晴子は朝倉彩子の名で日本電波映画の作品(琴姫七変化など)に出ていた女優のようである。このドラマだが、62~65年にかけて存在した東伸テレビの製作となっている記述もあるが、それは誤りで東映の製作である。
この64年の坂口の映画出演は大川橋蔵、片岡千恵蔵主演の「御金蔵破り」の1作のみのようである。フランス映画「地下室のメロディー」の翻訳時代劇と謳われている。時代劇も東映京都も初めての石井輝男が当時京都撮影所長だった岡田茂の命により監督を務めた。共演は朝丘雪路、丹波哲郎、杉浦直樹、青木義朗、待田京介、伏見扇太郎など。当時、大川と朝丘のゴシップ記事が週刊誌を賑わせていたため、敢えて共演させ話題を振りまこうとしたようである。坂口は「市川新五郎」という役だ。