速水亮(炎三四郎)の出演映画 その3 | お宝映画・番組私的見聞録

速水亮(炎三四郎)の出演映画 その3

前回に引き続き速水亮(炎三四郎)である。
約半年の空白期間を経て、71年の初出演作品となったのが「君は海を見たか」である。本作は70年に日本テレビで放送され(全8回)好評を得た倉本聰のオリジナル脚本ドラマの映画版だ。
妻を事故で亡くした増子一郎は9歳の息子正一の世話を妹・弓子に任せて仕事に打ち込んでいたが、その正一がウィルムス腫瘍となり余命三カ月と宣告されてしまう。それをきっかけに増子は息子との触れ合いを取り戻そうとするといったお話である。
日テレドラマ版のキャストは平幹二朗(増子)、山本善朗(正一)、姿三千子(弓子)で、他に小栗一也、野際陽子、下元勉、井川比佐志となっている。
大映版も原作・脚本は倉本聰だが、登場人物らに若干の違いはあるようだ。上記の日テレ版に対応するように記述すると天知茂(増子)、山本善朗(正一)、寺田路恵(弓子)で、他に内藤武敏、阪口美奈子、中村伸郎、中山仁となっており、子役の山本のみドラマ版と同一である。内藤はドラマ版にも出演しているが、違う役である。後、ドラマ版には大映の主演スターだった本郷功次郎が増子の友人役出ていたが、映画版に同役はない。速水の役は天知の部下・田宮で、こちらはドラマ版にはなかった役のようである。なお、ドラマ版では巨人軍の王貞治、長嶋茂雄、高橋一三が入院中の少年を励ます役(つまり本人)で出演しているという。
倉本の大映作品というのは他に無いようで、倉本と天知の組み合わせも他に無いようである(あったらスイマセン)。
なお、82年にもフジテレビでリメイクされ、萩原健一、六浦誠、伊藤蘭、柴俊夫、田中邦衛、関根恵子、大木実、梅宮辰夫、大友柳太朗などが出演している。
速水に話を戻すと実は本作が炎三四郎としての最後の出演となっている。ここからまた五カ月の間があくのだが、その間にダイニチ映配は、日活のロマンポルノ転向により解消され、71年10月に大映配給が新たに設立される。もっとも、それから二月持たず大映は倒産してしまうのだが。
その大映末期に公開されたのが戦記物「海兵四号生徒」である。出演は渡辺篤史、高橋長英、佐々木剛、長谷川明男、伊吹新吾(後に剛)、高城丈二などで、ここでの速水は芸名の変更を承諾され「豊田正文」を名乗っている。これは本作の原作が豊田穣で、役名が十条正文だったのを合わせたもの。しかし、前述のとおり直後に大映が倒産し、結局この豊田正文の使用は本作のみに留まっている。