藤岡弘の出演映画 その7
さて、今回も松竹時代の藤岡弘だが、最近別の記事で紹介したものばかりである。
69年はまず、ヴィレッジ・シンガースの映画として紹介した歌謡映画「落葉とくちづけ」で尾崎奈々と主演。記憶喪失の青年を演じる。ヴィレッジ・シンガースの五人は予告編では共演と謳われている。ポスター上で名前がトップなのはヴィレッジだが、藤岡と尾崎の姿が一番大きく載っている。ヴィレッジ同様に人気GSのオックスもポスターでの扱いは大きいが物語に絡むわけではない。ちなみに赤松愛の脱退前で、その後任が夏夕介である。藤岡の松竹での主演作は本作が最後となった。
69年の出演作はあとコント55号の映画として紹介したもの2本に出演しているのみである。まずは「コント55号と水前寺清子のワン・ツー・パンチ三百六十五歩のマーチ」というえらく長いタイトルの作品。まあ、当然主演は55号と水前寺なのだが、藤岡はその水前寺と結ばれるという役。当時の水前寺は大ヒットドラマ「ありがとう」でのヒロイン役だったりしたが、男みたいな短髪だったこともあり、子供ながらにも女性を感じなかった。あくまでも個人的な嗜好だけれども。もう1本が大晦日公開の「チンチン55号ぶっ飛ばせ‼ 出発進行」だが、こちらは完全な顔見せ出演で役柄は「ヘルメットの男」である。
そして、70年。恐らく松竹の専属俳優として最後の映画出演となったのが「夕陽が呼んだ男」である。主演は森田健作なので、彼の出演映画として紹介した作品である。藤岡は竹脇無我の弟という役だが、これが愚弟という設定。脇役の時でも、基本好青年役だった藤岡にしては珍しい役といえる。ポスターに藤岡の姿はない。
そして、この70年に転機が訪れる。東映のアクションドラマ「ゴールドアイ」のレギュラー出演である。出演経緯は不明だが、12話より千葉治郎と共に登場。ご存知のとおり千葉とは「仮面ライダー」でも共演することになる。本作はここでも何度か取り上げているが渡瀬恒彦、柴俊夫も本作がドラマデビューなのである。ちなみに藤岡は松竹所属のままでの東映出演であった。
この東映ドラマ出演がきっかけになったかどうかは定かでないが翌71年「仮面ライダー」の主演に抜擢される。この年事実上五社協定が崩壊したこともあり、正式に松竹との専属契約を解消したのである。元々体育会系気質だった藤岡には、松竹青春映画のおっ坊ちゃん役は自分には合わないと感じていたのである。
以降の活躍は改めて書くまでもないだろう。