二人の素浪人
前回の「紫頭巾」の放送中に始まったのが、「二人の素浪人」(72年)である。放送期間が被っていたのは9月の一か月のみだが前者の主役である浜畑賢吉はこちらの主役でもあり、当時の売れっ子ぶりが覗える。
「二人の素浪人」というくらいなので、主役はもう一人おり、「三匹の侍」ノイメージもまだ強かったであろう平幹二朗(流月之介)である。浜畑が演じるのは柴源之進で、クレジット上は平がトップだと思われる。共に純粋な素浪人で、実は隠目付とか隠密とかというような裏設定はないようだ。
この二人に加えて、品川隆二(きっかけの三次)と河原崎長一郎(東ノ小路道麿)も旅を共にする。つまり男四人がレギュラーである。三次は元岡っ引きという渡世人。演じる品川はやはり「素浪人月影兵庫」「素浪人花山大吉」での焼津の半次役のイメージが強くそれに通じるキャラだろう。品川は元々は二枚目路線だったこともあり、コミカルなキャラは嫌いだったという。
河原崎長一郎演じる道麿は医者くずれだが、腕は確かというキャラだ。あまりイメージがないが、河原崎も60年代前半は東映時代劇で準主役級の役者だった。
レギュラーが男だけということもあり、ゲスト女優は力を入れているようだ。松木路子、鮎川いづみ、岩崎加根子、上原ゆかり、早瀬久美、麻田ルミ、東山明美、佐藤友美、土田早苗、菊容子、木内みどり、松山容子、佐野厚子、松岡きっこ、市毛良枝、梓英子、中山麻里、赤座美代子、御影京子、鳳八千代と当時人気のあった面子が多い気がする。上原ゆかりは当時16歳。5歳の頃出演した「マーブルチョコ」のCMで人気者となっており、29歳(85年)の時に引退したようだ。
男優ゲストは葉山良二、玉川良一、高松英郎、太田博之、津川雅彦、中村竹弥、園井啓介、永井智雄、中山昭二、牟田悌三、長谷川明男、高橋元太郎、夏八木勲、亀石征一郎、村井国夫、目黒祐樹、菅貫太郎、丹波哲郎などである。
斬られ役やその他での出演者として、川谷拓三、西田良、福本清三などの名があるが、東映には59~60年入社のほぼ同期。大きな役がつくようになった川谷、西田に比べ福本は斬られ役が続いたが、逆に「5万回斬られた男」として知られるようになった。片桐竜次や成瀬正孝も同様の役で出演していたようだが、二人はれきっとした東映ニューフェイス出身である(最後のニューフェイスである13期生)。川谷、片桐、成瀬らは75年に結成されたピラニア軍団に参加することになる。
全19回で、浜畑と品川は全話登場したようだが、平は4回ほど、河原崎は6回ほど未登場の回があるようだ。二人が共に欠席ということはなかったようである。最終話は73年1月6日という切れの悪い日で、翌週から3月いっぱいは岡崎友紀主演の「お嫁さん決めた!」という現代劇が放送されたので、「二人の素浪人」は打ち切りだった可能性もある。