賞金稼ぎ
今回は、今まで(たぶん)取り上げたことがない時代劇から「賞金稼ぎ」(75年)である。若山富三郎主演のウエスタンチックな時代劇だ。
東映では「賞金稼ぎシリーズ」として三本の映画が存在するが、まあそれのテレビバージョンというわけである。若山が演じるのは賞金稼ぎの錣(しころ)市兵衛。ちなみに錣とは兜・頭巾の後頭部から首を守る部位のことを言う。相撲には詳しくないが元寺尾関が現在は錣山親方だそうである。苗字サイトで調べると錣山は全国で2件あったが、錣という人はいないようである。
話が逸れたが、映画での主人公と同じ名前である。その市兵衛の表の顔は寺子屋「日の出塾」を経営し、塾長先生と呼ばれている温厚な人物。しかし、その裏の顔は武芸十八般の達人というスーパー賞金稼ぎ。塾は無料で開いているため、その運用資金の調達という側面がある。
ジュディ・オング演じる陽炎は伊賀のくノ一で、賞金稼ぎの相棒でもある。塾では体育の先生。陽炎は映画版にも登場するが1作目は野川由美子、2作目は真山知子が演じていた。瞳順子演じる千枝は塾の先生であり経理担当。市兵衛の裏の顔は知っている。個人的なイメージだが、瞳順子は服部妙子と並び被害者となる役が多い気がする。本作でも誘拐されたりはするが、常に気丈にふるまっている。
ミラーマンでお馴染み石田信之が演じる桜井新之介は算術の先生で、正義感は強いが腕っぷしは弱い。大村崑演じる九内は塾の用務員で子供たちの送り迎えなどを担当する。彼も武芸はからっきしで、男二人は市兵衛の裏の顔は知らない。
睦五朗演じる高坂飛騨守は勘定奉行だが、市兵衛の幼馴染である。事あるごとに市兵衛に賞金稼ぎの仕事を持ってくる。
後は準レギュラーだが、仲間の賞金稼ぎたちがいる。若林豪(山上太郎左)、石橋蓮司(片桐三郎次)、大木実(望月弥太郎)、大友柳太朗(岩見又五郎)がおり、いずれも3~4回ずつ出演している(大友は2回)。大木実演じる弥太郎は映画版にも登場している。
塾の子供たちの中に仁科扶紀という娘がいるが、川谷拓三の娘だという。子役としてだけでなく成人してからも女優は続けているようだ。本作の出演者リストに川谷の名はないが、当時なら斬られ役とかで出演していても不思議はない。
本作はウエスタンチックと書いたが、もちろん剣での戦いもあるが、ライフルによる銃撃戦が多い。火縄銃ではなく完全にライフルである。