武蔵坊弁慶
「真田太平記」の後番組が新大型時代劇の第3作となる「武蔵坊弁慶」(86年)である。
弁慶が登場する時代劇自体は結構あると思うが、「弁慶」をタイトルつまり主役にしたドラマや映画はそれほど多くない。ドラマとしては、おそらく本作は2本目だったようだ。ちなみに」1本目は丹波哲郎主演の「弁慶」(65年)である。どうしても、牛若丸(源義経)が主役になることが多いからだろう。原作は富田常雄で「姿三四郎」や「柔」の作者でもある。
配役だが、主演の弁慶役は中村吉右衛門。歌舞伎の「勧進帳」や「義経千本桜」でも弁慶を演じていたことが、決め手になったようである。吉右衛門といえば「鬼平犯科帳」のイメージが強いが、こちらは89年のスタートである。
牛若丸こと義経役は川野太郎。デビュー作でもある前年の連続テレビ小説「澪つくし」で一躍有名となっていた。第3話にて有名な五条大橋での対決シーンがあったが、川野を吊っていたワイヤーが切れるという事故があり、川野は足に重傷を負った。その為、川野の登場場面はしばらく上半身のみとなり、立ちシーンは代役が演じていた。
義経の主従関係にある面々は、岩下浩(常陸坊海尊)、ジョニー大倉(伊勢三郎)、真夏竜(佐藤継信)、中村扇雀(佐藤忠信)、村田雄浩(片岡経春)、布施博(片岡為春)など。弁慶と伊勢三郎、佐藤兄弟は義経四天王と呼ばれる。ちなみに俳優・浅野忠信の本名は佐藤忠信だ。真夏竜はウルトラマンレオで、中村扇雀(当時・浩太郎)は坂田藤十郎と扇千景の次男である。
弁慶や義経の関係者は、荻野目慶子(玉虫=弁慶の妻)、高橋かおり(小玉虫=弁慶の娘)、長岡輝子(弁慶の母)、麻生祐未(静御前)、山咲千里(若の前=義経正室)、藤村志保(常盤御前)、高品格(播磨の太平)、加藤茶(徳)、寺尾聰(金売り吉次)など。長岡輝子は当時78歳であったが、102歳まで生き抜いた。加藤茶がこうしたドラマにドリフを離れてピンで出たのはこれが初だったようだ。
他の主な登場人物は、菅原文太(源頼朝)、内藤武敏(北条時政)、神崎愛(北条政子)、平泉成(後藤新兵衛)、児玉清(富樫家経)、佐藤浩市(木曽義仲)、大地真央(巴御前)、久米明(源頼政)、芦田伸介(平清盛)、隆大介(平知盛)、長塚京三(平宗盛)、真野あずさ(右京大夫)、津嘉山正種(藤原泰衡)、坂東正之助(藤原忠衡)、萬屋錦之介(藤原秀衡)などである。
大河ドラマが87年より時代劇路線(独眼竜政宗)に戻ることが決定したため、本作は12月に全32話をもって終了した。この「新大型時代劇」の枠も本作をもって終了している。