科学捜査官 その2 | お宝映画・番組私的見聞録

科学捜査官 その2

前回の続きで「科学捜査官」(73~74年)である。
前回も書いたとおり、園井啓介が降板を余儀なくされ、福田豊土(大島技官)がレギュラー入りし、香山美子(牧村技官)も1クールで降板となった。既に「銭形平次」のお静役を演じていたが、大河ドラマ「勝海舟」にも出演が決まったためではないかと思われる。代わりに起用されたのが那智わたる(明日香技官)である。那智は当時37歳、宝塚歌劇団出身で、男役のトップスターであった。76年以降の活動記憶は見当たらないので、その辺りで引退してしまったしたようである。役名の明日香は苗字で、下の名はリョウコというようだ。ちなみに、全国で10件程度のレア苗字ということになる(下の名前としてはポピュラーだが)。福田豊土は「リンゴを齧ると歯ぐきから血が出ませんか」というデンターライオンのCM知られる。読みは「とよと」なので、「土」と書くのが正しいのだが「士」とクレジットされることも多かったようだ。
また、中野誠也が演じる円城寺次長は元々は捜査課の刑事だったことが第2話のセリフから分かるが、捜査一課に返り咲き、円城寺警部(主任)となる。前項でも書いた通り3~18話は未見なので、何話からかは不明だが、恐らく14話からではないだろうか。それに伴い芦田伸介演じる湯浅警部も警視に昇進し、ポストも課長補佐となっている。
刑事側のメンバーが強化され、稲葉義男(古田部長刑事)や山本清(清水刑事)がレギュラー入りし、中原成男(庄司刑事)、橋本功(守田刑事)と共に活動する。他にモブ的な存在ではあるが渡辺紀行(島本刑事)、沖秀一(沖刑事)、田尻丈人(江藤刑事)が終盤の回では固定されている(役名と俳優は推定)。渡辺紀行は第1話から姿を見せていた。刑事役の数が増えた分、刑事側からのドラマが増えた気がする。それに伴い、原保美(吉岡部長)や大森義夫(浜松技官)は登場しないことも多くなる。
科捜研側では、明日香絡みの話が多くなり、最終話も彼女が変質的な連続殺人犯(夏夕介)に狙われるというもので、それを捜査課総出でガードするというような話になっている。勿論、逮捕されるのだが、彼は学生時代の内ゲバ事件で頭を殴られ、その影響から犯罪に手を染めるようになり、責任能力がないと判定される可能性があるというようなラストであった。そういう会話を原保美と警察(芦田伸介、中野誠也)がやると「怪奇大作戦」(68年)を何となく思い出す。こちらも科学捜査で怪奇な犯罪を暴くというもので、SRIの所長を原保美が演じていたからだ。このSRIとは科学捜査研究所の略称なのだが、こちらはフィクションの民間組織で実在の科捜研とは無関係である。