おしどり右京捕物車
個人的に今月は忙しいので、あまり調べなくてもいい題材ということで思いついたのが「おしどり右京捕物車」(74年)である。再放送も結構あったし、CS等でもよく放送されているイメージがある。
本作は当時多かったハンディキャップ時代劇の一つで、お馴染みの「丹下左膳」「座頭市」はじめ「めくらのお市」「啞侍鬼一法眼」といった障害を持った主人公が活躍する作品の一つだ。本作においてそれは足である。
中村敦夫扮する主人公の北町与力・神谷右京は悪党たちが恐れる凄腕の役人だったが、初回で野洲の万蔵(遠藤太津朗)一味の罠にはまり木材の下敷きとなり下半身不随となってしまう。そして奉行所を追われてしまうのである。そんな右京に今がチャンスと恨みを抱く悪党たちが次々と襲い掛かってくる。どれだけ恨みかってるんだという感じだ。
悪党退治しか能のない右京は不屈の精神で鞭の腕を鍛える。そんな右京に周囲の人間たちがサポート。奉行所での友人だった与力・秋山左之介(前田吟)が持ってくる事件をわずか一両の報酬で引き受ける「下請け与力」となり、妻であるはな(ジュディ・オング)押す手押し箱車に乗って悪党たちに立ち向かって行くのである。無報酬(たぶん)で、夫婦をサポートする観念(下条アトム)と音三(太田博之)の若者コンビ。なにかしら右京に恩義があるのだろうが、それが劇中で語られることはなく、不思議に思ったりもする。右京にどやされたり、何度も危険な目にあってもその支援を辞めることはない。右京ははなに対しても終始、仏頂面で命令口調だが気づかいを見せる描写も多くあり、夫婦仲は良いというのはわかりタイトルの「おしどり」につながる。
箱車はやはり「子連れ狼」からの発想であろう。子供ではなく大人が乗ったらどうなるか、ということだろうか。下半身不随の主人公は「鬼警部アイアンサイド」の影響もあったかもしれない。
元々は「必殺シリーズ」の4作目として企画されたらしく(実際放送されたのは「暗闇仕留人」)、基本的なスタッフは必殺シリーズと同じなのである。だから、必殺テイストの強いエピソードも多い。大人数を相手にする回も多いのだが、基本的には少人数を軽快なメロディに乗って倒していくのが好みである。主題歌の「愛は夕日に燃えて」のイントロがとても良い。
第1話では、ほとんど機動力を使わず前述の万蔵ら四人(遠藤、五味龍太郎、志賀勝、大橋壮多)を倒すのだが、一味の手下として登場しながら「お前らはすっこんでろ」ということで、所在不明になっていた伊太八(室田日出男)やお役者常(藤木敬士)は16話に再登場する。しかし役者がそれぞれ蔵一彦、富川澈夫に変更されており、再登場という感じはしなかった。今まで気が付かなかったのだが五味、志賀、大橋は遠藤の息子という設定だったこと。冒頭で右京に捕まった万蔵の息子が四郎吉(酒井修)という名前で、それぞれの役名が市太郎(五味)、半次(志賀)、三造(大橋)なので、四兄弟設定だったことに今更ながら気づいた。
ちなみに志賀勝のクレジットはなく、似た誰かかな?とずっと考えていたのであるが、ウィキペディア情報で半次役は花岡秀樹となっているが実際は志賀勝で、半次が万蔵の次子とも記されていたので前述の件に気づいたのである。ドラマをよく見ていなかっただけかもしれんが。
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