ガッツジュン その2 | お宝映画・番組私的見聞録

ガッツジュン その2

前回に続いて「ガッツジュン」(71年)である。今回はゲストの面から見ていきたい。
その前に監督に起用されたのは宣弘社の顔ともいえる船床定男であった。しかし、船床は野球のことをあまり知らなかったのである。さらに前番組である「柔道一直線」からあった荒唐無稽な描写を引き継いだ方がいいだろうと考えたようである。
第2話で、早くも金星高校との練習試合が描かれる。相手のエース瀬戸は火の玉のような魔球を投げるのである。瀬戸を演じるのは近藤正臣で、何故か謎の特訓中は赤い柔道着姿なのだ。勿論これは「柔道一直線」で近藤が結城真吾役を演じていたことを意識してのものだ。金星高校の監督役は堀田真三が演じるが何故か堀田真二とクレジットされていた。「我々は反則すれすれで相手チームを片付けていく」などとほくそ笑む悪役丸だしな監督である。ちなみに、近藤42年生まれ、堀田は45年生まれと、高校生役の近藤の方が年長である。
第3~4話には「サインはV」で人気者となった范文雀がゲスト。当然彼女はバレーの選手で、主人公ジュンは何故か彼女とサーブ対決をすることになる。5~6話には「柔道一直線」の主人公・一条直也を演じた桜木健一が登場。当然のように柔道部員の役だが、ジュンを特訓するのである。この辺りを見てたら「野球ドラマ」なのかバレーなのか柔道なのかわけがわからない状態なのである。
第7~9話は、本来の野球に戻るが、神子上兄弟というのが登場する。アンダースローの兄・太郎を演じるのは眞家博満で、元祖ジャニーズの一人である。弟・次郎を演じたのは本保明啓、と言ってもわからないと思うが後の潮哲也である。潮と言えば、翌72年には「快傑ライオン丸」で主役を演じることになるが、本作で本間役の清宮達夫こと南城竜也とは東映演技研究所での同期であったという。南城も前回書いたとおり翌72年に「変身忍者嵐」で主役となり、二人の時代劇ヒーローはデビュー前から繋がりがあったのである。話は戻るが、神子上次郎の持つ魔球がレインボーボールであり、ジュンはこの魔球を取得するのである。
しかし、この荒唐無稽路線はウケが悪く視聴率は低迷する。船床監督は降板し、2クール以降は今までの魔球とかはなかったことになり、普通のスポ根ドラマへとシフトチェンジを図っていくことになったのである。
全33話での終了となったが、予定では後1話あったという。フジテレビで同時間帯に「ミラーマン」が放送されることになり、次番組である同じ特撮ヒーロー番組「シルバー仮面」をスタートがぶつかるのを避けるため1週早めることになったためである。