日活俳優録30 中尾 彬、竜崎 勝(高島史旭) | お宝映画・番組私的見聞録

日活俳優録30 中尾 彬、竜崎 勝(高島史旭)

日活の第5期ニューフェイスの顔ぶれだが、61年刊行の「日活映画」誌に掲載されたのは、高橋英樹、高島史旭、小島忠夫、比留間隆之、斉藤修二、藤井重人、雨宮美智子、高見真由美、武内悦子、西田喜江、緒方葉子、富樫綾子、小幡真樹子、伊藤星子の14名である。
高橋英樹以外は聞いたことないという人も多いと思うが、実際にメインキャストまで昇格することなく消えていった人がほとんどのようだ。
ちなみに、高島史旭は後の竜崎勝の本名である。日活では本名で数本の作品にクレジットされているが、早い段階で退社し、63年には俳優座養成所に15期生として入所している。夏八木勲、栗原小巻、原田芳雄、林隆三、前田吟、地井武男、太地喜和子、赤座美代子、秋野太作などが顔を揃えており「花の15期生」と言われた期である。
高橋英樹の娘はフジテレビアナウンサーとなった高橋真麻だが、竜崎の娘は高島彩であり、やはりフジテレビアナウンサーとなっている。共に今はフリーアナウンサーとなっているが、父親同士が同じ会社の同期で、その娘が共に同じ会社で同じ職につく、というのも中々ないことではないだろうか。ちなみに高島彩は高橋真麻の3年先輩である。
竜崎勝は日活での在籍期間も短く、高橋英樹との共演もなかったようなので、二人の間に同期感覚はあまりないかもしれない。その高橋のニューフェイスの同期として名前が挙がるのが中尾彬なのだが、前述のように当時の「日活映画」誌には、中尾の名はないのである。
中尾の映画デビューは61年10月公開の「真昼の誘拐」で、本作は高橋英樹初の主演作だったようである。高橋と川地民夫、沢本忠雄そして中尾が金目当てで幼女を誘拐するといった感じの話のようで、ニューフェイス同期の武内悦子も主要な役で出ているようだ。
中尾彬は42年生まれで、映画デビュー当時は美大生であり、おそらくスカウトによる出演だと思われる。「日本映画俳優全集・男優編」によれば、この出演をきっかけに翌62年に第5期のニューフェイス試験を受けて入社したことになっているが、62年だと第6期になってしまう。高橋英樹は、本人が中尾彬と民芸に研修に通っていたと証言していた気がするので、そこから考えるにニューフェイス試験は受けていないが、少し後から入社して、第5期ニューフェイスに編入されたと考えられないだろうか。まあ、東映で言えば高倉健(第2期ニューフェイス)がこのパターンである。
また、この後中尾は大学を中退して絵の勉強のため、フランスに留学してしまった、というのも話をややこしくしている。64年に帰国すると研修を受けていた民藝に研修生として入団しているのである。日活と民藝の関係性から「月曜日のユカ」など日活作品には出演することはあったが、純粋に日活ニューフェイスだった期間は短かったと思われる。