2016年回顧録 その2 | お宝映画・番組私的見聞録

2016年回顧録 その2

前回の続きだが、今回は俳優編である。今年亡くなった役者の中で一番の大物は誰なのかと思ったのだが、中村梅之助(85歳)ということになるのだろうか。「遠山の金さん」といえば、千恵蔵だったり、杉良だったりする人もいると思うが、個人的な初金さんは梅之助版だったと記憶している。
平幹二朗(82歳)といえば、「三匹の侍」の印象が強い。佐久間良子と結婚するきっかけはドラマ「お吟さま」だったようだが、初共演はアニメーション映画「安寿と厨子王丸」(61年)だったようだ(声の出演)。佐久間は既にスターだったが、平はまだ無名の俳優であった。
白川由美(79歳)は、夫・二谷英明の死から4年後の死去であった。二谷は日活、白川は東宝の所属で、共演の経験はなかったが、知り合ったのはラジオ番組だった。結婚した64年当時は、映画会社の垣根を越えての結婚は話題を呼んだという。
白川の二日後に亡くなったのが曽根晴美(78歳)である。前述の佐久間とは東映ニューフェイスの同期(4期)であった。現代劇のイメージが強いが、80年代以降のドラマ出演は時代劇が多かった(特に暴れん坊将軍シリーズ)。元々はプロ野球・東映フライヤーズに入団の予定だったが、正式契約の前にけがをして断念。そこで東映がニューフェイスを募集していたので、応募したところ合格したため「役者は好きでなったわけじゃない」と言っていたようだ。
梅津栄(88歳)は、現代劇から時代劇、子供番組まで、悪役から善玉、シリアスからコメディとあらゆるジャンルで見かけた気がする。老けて見えるタイプであったが、本人も老け役を演じるため若い頃から総入れ歯にしていたという。注目され始めたのは、丹波哲郎主演の「トップ屋」(60年)あたりから。個人的には「非情のライセンス」第一シリーズの鈴木刑事役が印象に残っている。主演・同僚の天知茂や葉山良二とは同世代であったが、天知は54歳、葉山は60歳、後輩刑事役だった宮口二朗も55歳と若くして亡くなったなか、梅津は長生きしたと思える。
刑事ドラマといえば「部長刑事」。そこで約25年にわたり西警部を演じていたのが西山辰夫(87歳)であった。関西ローカルなので、ほとんど見る機会はなかったけれども。
三角八郎(80歳)は、54年に大映入社。当初は本名で活動していたが、後に入社した丸井太郎に合わせるように三角八郎になったと記憶している。70年から三年間、藤田まこと一座に入って巡業するなどコメディ系役者のイメージもあったが、「Gメン75」のゲスト刑事役などシリアスなイメージが強くなっていた印象がある。
4代目江戸家猫八(66歳)は、江戸家小猫といった方がしっくりくる感じがする。猫八の名を09年に襲名してからわずか7年目であった。
他にも早見章子(95歳)、笹るみ子(76歳)、十勝花子(70歳)、海外ではロバート・ヴォーン(83歳)、ジョージ・ケネディ(91歳)などが今年亡くなっている。これを書いている最中に根津甚八(69歳)の訃報も飛び込んできた。それぞれに合掌である。

本年の更新はこれで終了。来年も週2ペースで、とりあえずは新東宝俳優録の続きからはじめる予定である。