大映俳優録44 五味龍太郎 | お宝映画・番組私的見聞録

大映俳優録44 五味龍太郎

前回の千葉敏郎と同様に、強そうな浪人役が似合っていたのが五味龍太郎である。
54年に日大芸術学部を中退しているが、その傍らで松竹音楽学校付属研究所を卒業している。
翌55年、東映第二期ニューフェース募集に合格している。同期が今井健二、丘さとみ、そして高倉健である。この養成期間中に俳優座研究所へ委託生として半年過ごしたのち、東映京都と専属契約。56年に片岡千恵蔵主演の「三つ首塔」でデビュー。本名の五味勝雄名義であった。デビューまでに色んなところで学んでいたのである。
デビューこそ現代劇であったが、すぐに時代劇中心となり、美空ひばり映画への出演が多かった。翌57年途中、芸名を五味勝之介と改めている。
61年に松竹京都へ転じ、芸名は五味勝雄に戻している。東映には5年間程在籍していたが、今一つ印象に薄い気がする。松竹では「切腹」(62年)、「丹下左膳」(63年)などに出演したのち、63年途中大映京都に転じている。やっとここで、五味龍太郎が誕生する。
やはり、五味はこの大映時代のイメージが圧倒的に強いと思われる。「座頭市シリーズ」や「眠狂四郎シリーズ」など、何度も勝新や雷蔵に斬られている。いくら悪役俳優でもたまに善人役があったりするのだが、五味の場合は在籍していた70年までに、悪役以外なかったと言われる。
大映退社後は、テレビ時代劇を中心に活動。各社のありとあらゆる時代劇に顔を出している。
必殺シリーズは、ほとんどのシリーズに登場。「必殺仕置人」では半年の放送期間に3度登場、「必殺仕事人」では5回登場している。
「水戸黄門」「大岡越前」「桃太郎侍」「暴れん坊将軍」「大江戸捜査網」といった定番時代劇にも繰り返し登場していた。
「非情のライセンス」「Gメン75」「ザ・ハングマン」など、たまに現代劇にも顔を出していた。
時代は遡るが、「トップ屋捕物帳」(63~64年)という時代劇か現代劇かわかりにくいタイトルのドラマ(現代劇である)が、存在したのだが、どうやら五味が主演だったようなのである。もう五味龍太郎になっていた時期だと思われるが、ここでは五味勝雄名義だったようだ。ちなみに、ライバルの女トップ屋は三田登喜子が演じたらしい。
本人が70歳になる03年までは、元気な姿を見せていたようだが、その後あまり見かけなくなり、13年に訃報が流れた。80歳であった。
ちなみに、戦前の怪優と言われた團徳麿(本名・山本徳麿)の娘と結婚。入り婿の形で本名が山本勝雄になっている。