遠山の金さんテレビシリーズ | お宝映画・番組私的見聞録

遠山の金さんテレビシリーズ

「遠山の金さん」のテレビシリーズは、どのシリーズもだいたいよく知られているように思うのだが、60年代の金さんを覚えている人はあまりいないと思う。
記録上で一番古いのは60年の「遠山の金さん捕物帳」である。金さんを演じるのは、ここでも何度か取り上げた夏目俊二。59年~61年にかけて「若さま侍」や「新吾二十番勝負」「紫頭巾」などの時代劇で主役を連発していた俳優である。この後は地味に脇役になっていき、知る人ぞ知る役者になっていったという感じである。放映期間は1クールで、藤本義一が脚本に参加していたようである。
67年の「遠山の金さん」を演じたのは当時21歳の市川新之助(6代)。といってもピンとこないこもしれないが、この二年後には市川海老蔵(10代)を襲名したといえばわかるだろう、現在は市川團十郎(12代)となっている。おそらく、歴代で一番若い金さんだったのではないだろうか。
共演は御影京子、市川翠扇、武藤英司、中山昭二など。約4ヵ月の放送だったようである。
そして、中村梅之助の「遠山の金さん捕物帳」(70~73年)を始めとした日曜20時からの金さんシリーズ(テレビ朝日系)。梅之助版は三年続いた人気番組だったので、覚えている人も多いだろうが、その翌週から放送された市川段四郎の「ご存知遠山の金さん」(73~74年)は割合死角になっている気がする。この後、橋幸夫、杉良太郎と続くため、どうしても印象が薄くなったと思う。段四郎版の出演者は市川銀之助(團蔵)、桂小金治、工藤堅太郎、松橋登、田坂都、古川ロックなど。ちなみにこの金さんシリーズは77年まで続いた。
主演の市川段四郎は前述の團十郎と同い年で、團十郎(当時は海老蔵)の「宮本武蔵」でも共演していた。本名は喜熨斗(きのし)宏之といい非常に珍しい苗字をもつ。この一族以外には存在しない苗字なのではないだろうか。
ところで、それぞれタイトルが微妙に違っているのにお気づきだろうか。橋幸夫版は「ご存知金さん捕物帳」、杉良太郎版は「遠山の金さん」、後の高橋英樹版も「遠山の金さん」、松方弘樹版は「名奉行遠山の金さん」である。全てを正確に言える人はなかなかいないのではないだろうか。