つむじ風三万両/江戸の紅葵
調べてみると60、70年代に松方弘樹が主演だった時代劇というのが結構あることに気づいた。前項の「野次馬がいく」や「新吾十番勝負」以外にも、「人形佐七捕物帳」なども以前ここで取り上げたが、他にも「銭形平次」で有名な野村胡堂原作のドラマ二作品でも主役を演じている。
まずは「つむじ風三万両」(64年)。幕末を舞台に幕府の軍資金三万両を江戸から京に運ぶ輸送を命じられた蔵人(松方)が、その金を奪おうとする倒幕派や盗賊など三つのグループとの争奪戦を描いた話である。
倒幕派のリーダーを演じるのが東千代之介で、盗賊一派の頭が夏目俊二、女盗賊一派の頭が松村安子で、この三派が輸送隊を次々襲うようだ。
松方率いる輸送隊には、奉行所与力である北村英三、老中堀田(原健策)の家臣である大里健太郎など。大里は「里見八犬傳」で八剣士の一人を演じていた役者だ。見た目輸送隊側に悪役っぽいのが揃っているのだが、案の錠、原や北村は悪だったという結末のようだ。他にも千原しのぶ、御影京子、ゲストと思われる品川隆二、伏見扇太郎、栗塚旭、そして近衛十四郎も大目付の役で何度か登場するようだ。
1クールのドラマの割には出演者が豪華な気もするが、これは東映で劇場時代劇が制作されなくなった分、テレビに流れてきたということのようだ。東千代之介も65年には東映を退社している。
もう一つが「江戸の紅葵」(70年)、こちらは「新吾十番勝負」の後番組、つまり白雪劇場枠で松方の主演作が続いたことになる。
やはり幕末が舞台で、松方の他、野川由美子、高松英郎、水野久美など。今映画をやってる桜田門外の変が描かれているようで、実在人物は井伊直弼に岡田英次、徳川斉昭に河津清三郎、島田左近に佐藤慶、関鉄之助に田畑猛雄など。田畑は必殺シリーズや水戸黄門など時代劇では頻繁に見かける役者である。
原作は有名かどうかしらないが、ドラマ自体はどちらも埋もれてしまった作品といえるのではないだろうか。