新諸国物語 黄金孔雀城 | お宝映画・番組私的見聞録

新諸国物語 黄金孔雀城

前項の「里見八犬傳」は、東映娯楽版と呼ばれる少年向け時代劇の一つだが、今回もそこから「新諸国物語 黄金孔雀城」(61年)を取り上げてみたい。
「新諸国物語」シリーズはNHKの連続ラジオ放送劇を映画化したもので、東映では「笛吹童子」「紅孔雀」「七つの誓い」そしてこの「黄金孔雀城」があり、タイトルに「新諸国物語」がついている。
東映では四年ぶりの「新諸国物語」で、前作までは中村錦之介や東千代之介がメインだったのだが、本作はほぼ新顔であった沢村訥升と河原崎長一郎が主演となっている。
沢村訥升は前項で取り上げた沢村精四郎の実兄で当時27歳。東映には60年に移籍してきている。ちなみに「とっしょう」と読む(読める人あまりいないのではないか)。ちなみに弟の精四郎は「きよしろう」と読むらしい。
河原崎長一郎は当時22歳で、本作が映画二作目であった。弟の次郎と建三は子役として先にデビューしており、長一郎のみ成人してからのデビューである。しかも次郎が東映入社を嫌がったので、その代わりに望まれて入社したということらしい。
真面目な父親とかサラリーマンといったようなイメージが強いが、デビュー当時は東映でチャンバラをやっていたのである。
この二人、いずれも歌舞伎役者の長男で、なぜか顔立ちもよく似ているが、いずれも弟の方が二枚目だったといえる。本作でも共演の里見浩太郎や山城新伍の方が、どうしても主役のように見えてしまうのである。

沢村訥升は63年には歌舞伎界に戻り、後に澤村宗十郎(九代)となっている。長一郎はチャンバラスターにはならずに65年に東映を退社し、その後の活躍は知ってる人も多かろう。
沢村は01年に67歳で、長一郎は03年に64歳でそれぞれ亡くなっている。
長くなったので次回に続く。