凶悪の波止場 | お宝映画・番組私的見聞録

凶悪の波止場

我らが青山恭二が、今度は警察医に扮しているのが「凶悪の波止場」(61年)である。
タイトルを聞くと「非情のライセンス」のサブタイを思い出す人もいるかもしれないが、もちろん何の関係もない。
青山はいつもの刑事ではなく、警察医になっても主役なので当然活躍する。この話、アクションドラマに加え伝染病(ペスト)が絡んでくるからである。
麻薬密売人の死体が発見されるが、その死因はペストであった。やがて密売組織の一人(上野山功一)が発症し、一味は医者(菅井一郎)を誘拐し、治療にあたらせる。その娘(香月美奈子)から知らせを受けた青山がその後を追う。しかし、上野山は死亡し、仲間の楠侑子や中台祥浩も発病する。組織のボス(二本柳寛)が逃げ込んだ船の中には無数の死体が転がっていた、といようなお話。
他の出演者は森塚敏、山田禅二、相原巨典など。一味の一人、中台祥浩はこの年に日活と契約したバイブレイヤーの一人で、名前を挙げたことはなかったが前述の「機動捜査班」シリーズにも結構顔を出している。
ところで、ペストって日本ではいつ頃まで発症していたのか、調べてみると1926年を最後に確認されていないらしい。つまり、この作品公開時点で、すでに過去の病気だったのである。自分らが子供の頃には、まだ患者がいたような気がしていたのは間違いだったようだ。今だったら、こういうリアルな病気ではなく、宇宙からの病原体とか細菌兵器とか未知のウイルスとか、といったような設定になるのではないだろうか。