喧嘩社員/無敵社員/げんこつ社員 | お宝映画・番組私的見聞録

喧嘩社員/無敵社員/げんこつ社員

前項で名前が出たついでに城戸禮という作家について多少調べてみたが、主に貸本小説の作家として活躍していた人のようである。亡くなって20年以上たっていることもあり、新刊書店ではまず彼の作品を発見することは困難だと思われる。勿論、私自身一冊も読んだことはない。興味のある人は古本屋などを探してみてはどうだろう。
ジャンル的にはアクション物が多いようだが、サラリーマン物というのもある。それでも、主人公の名前は竜崎三四郎であることが多いようだ。その中の「無敵喧嘩社員」を原作とした映画が「無敵社員」と「喧嘩社員」(57年)である。二本に分かれているが「喧嘩社員」は「無敵社員」の続編で、出演者やスタッフは同じである。
主演は高倉健、そして山本麟一。二人は慶早大学野球部のバッテリーで、プロの誘いを断ってサラリーマンになるという設定である。ちなみに主人公の名前は竜崎三四郎ではない(原作がどうかは不明だが)。高倉は東映ニューフェースの2期生で、山本は1期生だが、この二人は明治大学の先輩後輩でもある。年齢は6歳違うため、高倉が入学した頃には山本は卒業していたのだが、山本は有名人でその悪名は学内に響き渡っていたそうである。そういう縁もあっての共演だったようだ。出演は他に浦里はるみ、中原ひとみ、小宮光江、三條美紀に加え、神田隆、須藤健、花澤徳衛、佐原広二といった「警視庁物語」メンバーや、高倉とはニューフェースの同期生である今井健二や古賀京子、岡田敏子といったところも顔を見せている。
同じ東映では「げんこつ社員」(56年)も、城戸禮の原作である。こちらの出演は波島進、南原伸二(宏治)、三笠博子、高千穂ひづる、三條美紀など。本作ではライバル同士という役柄の波島と南原だが、55年の「まぼろし怪盗団」では私立探偵(もちろん波島)と怪盗(とうぜん南原)、本作直後の「少年探偵団」シリーズでは直接対決ではないが、明智小五郎(波島)と怪人二十面相(南原)を演じることになる。
話は戻るが、高倉健も60年代初めくらいまでは、サラリーマンコメディ物に結構出演していた。若い頃からストイックなイメージが定着しているが、この頃は毎日のように女郎屋通いしていたのだそうだ。