かげろう絵図 | お宝映画・番組私的見聞録

かげろう絵図

東映、日活、松竹、東宝と来たので、大映の松本清張原作作品も取り上げることとしよう。
松本清張といえば推理小説だけでなく、ノンフィクションや歴史・時代小説も書いている。というわけで、時代物である「かげろう絵図」(59年)をピックアップしてみたい。
主演は大映の誇るスター市川雷蔵、ヒロインは山本富士子だが、東宝の志村喬や、当時は日活で活躍していた河津清三郎、東映「警視庁物語」に出ていた松本克平、永田靖、他にも柳永二郎、滝沢修といった大映所属ではないベテラン勢が多く出演している。当然、黒川弥太郎、千葉敏郎、伊達三郎、南部彰三といった大映時代劇お馴染みのメンツや阿井美千子、堀北幸夫、沖時男、原聖四郎と「新・必殺仕置人」で虎の会の俳諧師を演じた顔ぶれが揃って出演していたりする。
本作は12代将軍徳川家慶(伊沢一郎)の時代で、しかし実権は先代の家斉(柳永二郎)がまだ握っていた頃が舞台となっているのだが、ネット上の解説では家慶が悉く13代将軍となっている。未見なので、本編ではどうなっていたかは知らんが、正しくは12代で、13代将軍は家定である。
ところで、本編は二時間程の作品だが、ラストはさあこれからというところで「前編・完」とエンドマークが出て終了するらしい。それから50年、後編が制作された様子はない。「第一部・完」で終了した某マンガみたいである。
当時は前後編はもとより、三部構成の映画も珍しくはなかったが、本作が「前編」であるという告知は一切されていなかったらしい。原作も上下巻に分かれている長編ではあるが、これは客の入りを見て後編を作る予定だったのか、初めから作るつもりがなかったのか真相は不明である。まあ、制作されなかったということは不入りだったのであろう。