水滸伝 その1 | お宝映画・番組私的見聞録

水滸伝 その1

珍しくリクエストを頂いたので、早速やってみたい。個人的にも何度かやろうと思いながらも、何故か頓挫していた「水滸伝」(73年)である。これは日本テレビ開局20周年記念番組として、当時としては破格の6億円をかけて制作されている。
自分はまだ小学生であったが、リアルタイムで見ていた。実家には「世界の文学」という30巻の全集があり、その中に「水滸伝」もあったので読んでみたのを覚えている。しかし、OPで原案・横山光輝とクレジットされているように横山の漫画版を軸に用いているようだ。こちらは読んだことはないが、「三国志」の60巻に対してこちらは全8巻である。
5千万円をかけて中国の街のオープンセットを作り、出演者も当然豪華である。しかし、さすがに108人も出すわけにはいかないし、放送期間も半年だし、結局梁山泊のメンバーとして登場したのは20人くらいであろうか。主演は中村敦夫(林冲)で、「木枯し紋次郎」で人気を得た直後である。原作では主役というわけではない林冲が何故か主役である。その妻(小蘭)が松尾嘉代で、早い段階で死んでしまう。女性レギュラーは土田早苗(扈三娘)のみで、毎回登場するのは中村と土田くらい。後は入れ代り立ち代りで、多い回でも8人くらい、平均5、6人であろうか。
梁山泊側として登場するのは、あおい輝彦(史進)、長門勇(魯達)、ハナ肇(武松)、原田大二郎(花栄)、黒沢年男(載宗)、寺田農(公孫勝)、長谷川明男(張順)大林丈史(宋江)、大前均(鉄牛)、品川隆二(阮小二)、常田富士男(阮小五)、渡辺篤史(阮小七)、若林豪(関勝)、山形勲(晁蓋)といったところ。ハナ肇は前半のみで、後半は出てこないし、若林豪は108人目ということで、最後の方に登場するだけである。山形勲の晁蓋は梁山泊の首領であるが、二三度しか登場せず、あっさりと殺される。

その後の首領となるのが宋江だが、それを演じる大林丈史は出番は多いがこの中ではかなりマイナーな存在だろう。俳優座の16期生(同期に峰岸徹、古谷一行など)で、中村敦夫の後輩となり親しい間柄のようである。中村主演の時代劇にはほぼ必ずゲストで出演している(だいたい悪役だが)。その関係での抜擢かもしれない。必殺ファンには「仕置屋稼業」の最終回で印玄(新克利)と共に屋根から転落して死ぬ悪人、特撮ファンには「ウルトラマンレオ」のブラック司令などといえば、わかりやすいかも。
鉄牛役の大前均(キンと読む)はスキンヘッドの大男で、名前を知らなくても、見たらすぐにわかると思う。阮三兄弟は「焼津の半次」でお馴染みの品川とこの翌年から「カリキュラマシーン」に出演することになる常田と渡辺というキャスティングどおり、コメディリーフ的な存在である。彼らの活躍場面も多い。二、五、七以外に一、三、四、六がいないのかどうかは不明である。
長くなってきたので、次回に続く。