女吸血鬼 | お宝映画・番組私的見聞録

女吸血鬼

新東宝の吸血鬼物をもう一つ。タイトルはズバリ「女吸血鬼」(59年)。こちらにも池内淳子が出ているが、彼女は吸血鬼ではない。となると、失踪した二十年前と変わらないという姿で現れた三原葉子。彼女が誰しも吸血鬼だと思う。しかし、実は天知茂が吸血鬼だったのである。つまりタイトルの意味は女の血を吸う鬼ということなのだ。まあ、吸血鬼といえば美女の血を吸うのが普通といえば普通なので、タイトルを一ひねりしてあるのが新東宝流であろう。とはいってもポスターを見れば一目瞭然で、天知茂がいかにもという感じの吸血鬼メイクでドカンと載っているので、普通の人にはわかってしまうのである。ちなみにこの吸血鬼、月光を見ると牙が伸びて変身する。それって狼男だろと多くの人がツッコミをいれたと思う。
池内は三原の娘という設定で、その婚約者が和田桂之助。あまり馴染みがないが、新東宝二枚目スターの一人で57年までは和田孝名義で、58年から新東宝退社までが和田桂之助で、その後は和田孝に名を戻して、もっぱらテレビで70年代前半まで活躍していた役者である。
吸血鬼の手下の小人は江戸川乱歩の「一寸法師」(55年)では主演だった和久井勉で、天知茂はこちらにも出ている。海坊主の大男には重量挙げの選手だったという晴海勇三で、怪しい老婆はやはり五月藤江である。