戦場のなでしこ
次は「従軍看護婦たちが、ロシア軍に襲われる戦争物」だと聞き、例によって際どい路線を想像していた石井輝男だったが、大蔵社長から「ひめゆりの塔」で行けと言われ、その急な路線変更に驚いたという。それが「戦場のなでしこ」(59年)である。実際に石井もプレスシートでの談話に「ひめゆりの塔にならって作りたいと思います」とストレートに語っている。以前書いたとおり、元々は成瀬巳喜男などの助監督を務め、そういった映画を撮りたかった石井なので、本作は基本的にはメロドラマ調で展開する。
主演の軍医には宇津井健、その恋人の看護婦に三ツ矢歌子、他の看護婦に小畑絹子、大空真弓、田原知佐子、星輝美と、新東宝解散後もそれぞれ長く活躍している主演級の女優が並んでいる。ちなみに小畑絹子は小畠絹子、大空真弓は大空眞弓、田原知佐子は原知佐子、星輝美は星てるみとそれぞれ名前をマイナーチェンジしている。
富士山麓を満州の荒野に見たててロケが行われていたが、「早くあげろ」と会社からの矢のような催促に、石井は抵抗の意味で快晴のカットと雪の降っているカットを無理矢理つなげて提出したりした。しかし、会社側はそれをそのまま公開してしまい、石井も驚いたという。ちょっとぐらいおかしくても気にしないのが新東宝テイストなのだろう。
本作に脚本には、石井と連名であの川内康範の名がある。当時はまだ30代で、前年(58年)からスタートした「月光仮面」で、最も勢いのあった時ではないだろうか。新東宝でも55年頃から多くの脚本を出がけている。本作にどの程度かかわっているのかは不明である。
主演の軍医には宇津井健、その恋人の看護婦に三ツ矢歌子、他の看護婦に小畑絹子、大空真弓、田原知佐子、星輝美と、新東宝解散後もそれぞれ長く活躍している主演級の女優が並んでいる。ちなみに小畑絹子は小畠絹子、大空真弓は大空眞弓、田原知佐子は原知佐子、星輝美は星てるみとそれぞれ名前をマイナーチェンジしている。
富士山麓を満州の荒野に見たててロケが行われていたが、「早くあげろ」と会社からの矢のような催促に、石井は抵抗の意味で快晴のカットと雪の降っているカットを無理矢理つなげて提出したりした。しかし、会社側はそれをそのまま公開してしまい、石井も驚いたという。ちょっとぐらいおかしくても気にしないのが新東宝テイストなのだろう。
本作に脚本には、石井と連名であの川内康範の名がある。当時はまだ30代で、前年(58年)からスタートした「月光仮面」で、最も勢いのあった時ではないだろうか。新東宝でも55年頃から多くの脚本を出がけている。本作にどの程度かかわっているのかは不明である。