肉体女優殺し 五人の犯罪者 | お宝映画・番組私的見聞録

肉体女優殺し 五人の犯罪者

石井輝男が「スーパージャイアンツ」シリーズの間に撮った作品が「肉体女優殺し 五人の犯罪者」(57年)である。タイトル通りサスペンス物なのだが、「肉体女優」とは簡単にいうとストリッパーのことである。その殺されるストリッパーは北令子という人だが、実はフランス座で踊っていた本物の人である。この映画ではあと四人が殺されるが全員が麻薬密売に関係しており、、彼らと最後の一人が「五人の犯罪者」ということになるのだ。その五人に扮するのは三原葉子、天知茂、御木本伸介、小倉繁、そして最後の一人である肉屋が林寛である。林寛は「スーパージャイアンツ」では警視総監などをやっていた人である。
主人公の新聞記者はやはり宇津井健で、ヒロイン役が三ツ矢歌子である。彼女も踊り子の一人なので、当時としては大胆なビキニ姿になるのだが、やはり話題になり彼女目当てで沢山の新聞記者が訪れたという。監督の石井も彼女の美しさに魅せられ、この後も数本彼女を作品で起用する。とにかく「撮りたくなる女優」だったという。
もう一人忘れちゃいけないのが、前述の三原葉子。彼女が「肉体派女優」として売り出したのは、この作品からなのである。三原は新東宝スターレット一期生で、天知茂、高島忠夫、久保菜穂子などと同期生だが、順調な彼らと比べ三原は当時干された状態にあった。一度沈んだ女優を再起させるには、大胆に行くしかないと彼女もストリッパー役を演ずることになった。実際、57年に彼女が出演した映画はこれ一作である。しかし、これが功を奏し、その大胆な脱ぎっぷりでスター女優へと上っていく。石井も三ツ矢以上に彼女を起用している。
三原葉子は新東宝時代は順調だったイメージがあったのだが、意外と苦労していたことを改めて知ったのである。