あの娘に幸福を | お宝映画・番組私的見聞録

あの娘に幸福を

前項でちょっと触れた、峰健二(現・峰岸徹)の主演映画には「あの娘に幸福を」「六本木の夜 愛して愛して」(63年)の二本がある。どちらも純愛ものという感じだが、その両作で峰の相手役を務めているのが中川ゆきである。個人的には良く知らないが、前項の「高校生と女教師 非情の青春」に出演していた南弘子、桜井浩子と「スリー・チャッピーズ」として売出された女優で、中川三郎の三女だそうだ。当時は三人組で売出すのが流行っていたようで、スリー・チャッピーズも「なんでもやっちゃおう」などというレコードを出したりしている。この両作には南弘子も出演しているが、桜井は出ていないようだし、スリー・チャッピーズとしての映画は制作されていないようである。ちなみに桜井浩子は現在円谷プロに在籍しているのは有名だが、中川ゆきは中川裕季子の名で舞踏家になっているらしい、また南弘子は03年に57歳で亡くなっている。
「あの娘に幸福を」には、浜美枝、長沢純、浜村純などの他、「青影」こと金子吉延、当時歌手としてヒットを飛ばしていた飯田久彦などが出演している。そういえば、青影や河童の三平で活躍していた以前の金子吉延って見たことがなかった。当時は8歳であった。飯田久彦はご存知のとおり、音楽プロデューサーとしてピンクレディーや小泉今日子を売出し、現在はエイベックスの取締役だそうだ。そして峰岸隆之介時代にも共演の多かった長谷川明男とは、こちらでも共演している。長谷川明男は大映の俳優だとばかり思っていたのだが、特定の映画会社に所属していたことはないようである。映画デビューはこの63年で、峰も出演している「林檎の花咲く町」である。

こうして見ると峰健二として売れていなかったわけではないことがわかる。ちなみに峰岸隆之介として再登場した68年度には製作者協会新人賞を受賞している。