新日本珍道中・西日本の巻
高島忠夫と宇津井健の坊ちゃんシリーズで主演の二人が(宇津井は一作だけだが)ダブル主演したのが、新東宝創立十周年記念超大作「新日本珍道中・西日本の巻」(58年)である。これは新聞記者の高島と宇津井が表日本組と裏日本組に分かれて、鹿児島から東京まで車で競争しながら、それぞれの土地を紹介していくというもの。表日本を近江俊郎が裏日本を曲谷守平がそれぞれ監督し、脚本は近江、曲谷、そしてスヌーこと川内康範(分かる人には分かるネタ)が担当している。ちなみに現在、裏日本という言葉は差別であると言われるので使わない方がよいと思う。
これを企画した「新東洋タイムス」の社長に由利徹、高島の相棒に坊屋三郎、宇津井の相棒に鮎川浩、社長秘書に大空真弓、三ツ矢歌子、あとはまあチョイ役だが、そこは十周年記念超大作、豪華なメンバーが顔を揃えている。当時のプレスシートに名が載っているのが嵐寛寿郎、中山昭二、東宝から三木のり平と柳家金語楼、女優陣は久保菜穂子、高倉みゆき、宇治みさ子、日比野恵子など。名は載っていないがアップになっているのが三原葉子、他にも万里昌代、小畠絹子、魚住純子、北沢典子といった新東宝お馴染みのメンバー、加えて天知茂が旅館の番頭で、若山富三郎は飛行機の乗客として顔を見せるそうだ。特にストーリーらしいストーリーはないのだが、好評だったらしく直ぐに続編が制作されるのであった。