検事
宇津井健の初連続テレビドラマ出演作品となるのが「検事」(61年)である。五人の新人検事が犯罪に挑み社会悪と戦う法廷ドラマだそうだが、まあ2年も続いたところを見るとかなりの人気を得ていたようだ。五人の新人検事とあるが、おそらく宇津井健、佐竹明夫、園井啓介、高津住男、小山明子だと思われる。まあ実年齢で最年長の佐竹(当時35歳)と最年少の高津(当時25歳)と丁度10歳の差があるが、他の出演者で判明しているのが堀雄二と川喜多雄二(当時38歳)しかいないので、先の五人と判断した。当時の多くのドラマがそうであったように、本作も45分の生ドラマである。さすがの宇津井も毎回、非常に緊張していたようで、役者人生で一番きつかった作品だったと後に語っている。ところで宇津井はこのドラマを63年の初めに途中降板している。何でもこれは宇津井の所属していた大映の圧力だったらしい。映画会社所属の俳優がテレビで人気を得ているのが気に食わなかったのであろうか。しかしその63年、大映の「黒い報告書」で宇津井が演じたのは検事の役であった。翌64年の「検事霧島三郎」ではその霧島役と立て続けに検事を演じている。大映もえげつない会社である。実は宇津井はこれ以外にも検事役が多く、影の検事役者だったりするのである。