旅がらすくれないお仙
松山容子は元々はNHKの松山支局に勤めていたということである。それも野際陽子のようにアナウンサーではなく事務職だったらしい。それが週刊誌の表紙に起用されたことがきっかけで女優に転身したという話はファンならよくご存知であろう。松山という芸名はもちろんその松山市からきている。このブログで3項ほど前に取り上げた「七人若衆大いに売出す」にも出演しているのだが、その時は松山清子名義である。
さて夫の棚下照生とのコンビは「めくらのお市」が初めてだったわけではない。68年の「旅がらすくれないお仙」も同コンビの作品である。一般的にはこちらの方が有名であろう。私も見ていた記憶がある(おそらく再放送だと思うが)。これは同じ東映の人気番組であった「素浪人月影兵庫」の女版である。そちらでの焼津の半次・品川隆二にあたるのが当時19歳だった大信田礼子演じるかみなりお銀である。超ミニの着物姿は当時は評判になったものである。はっきりいってこの番組は松山よりも大信田目当てで見ていた人が多かったのではないだろうか。私も印象に残っていたのは大信田の方である。ちなみに中にはいていたのは男物の海パンだったらしい。
ところでこの番組、1年続いた人気番組だったが、フィルムはほとんど現存していないという。最近、東映お得意の1話のみ現存している作品特集で、第5話のみ放映された。実際はもっとあるのではと予想されるが、放映できる状態にあるのはほとんどないのであろう。本作より古い「月影兵庫」の第1シリーズはほぼ全話放映されたのに。レギュラーは基本的に二人なのでゲスト陣は結構豪華だったようだ。若山冨三郎、里見浩太郎、山城新伍、木村功、中野誠也、若林豪、近藤正臣、月形龍之介といったところが登場している。
松山容子は劇画家棚下照生と結婚したわけだが、大信田礼子は作曲家都倉俊一と結婚している。ただしこちらは4年あまりで離婚している。