丸出だめ夫
当時の人気マンガをアニメではなく、実写化して成功したものとして「丸出だめ夫」(66年)があげられる。これは東映の作品で、東映動画も既にテレビアニメの制作をスタートさせていたが、実写の方がやりやすいと判断したのだろうか。原作は森田拳次が少年マガジンに連載させていたものだが、どちらかといえばマンガの方を見ていた記憶がある。一番の違いはボロットがしゃべるかしゃべらないかというところだろう。原作のほうは書き文字を掲げて表現していた。さて、だめ夫といえば穂積ぺぺだが、下条アトムのように本名ではない(当然だが)。小山正幸という普通の名前で、ペペはカタカナではなく平仮名なのだそうだ。海外のアニメに出てきたペペというキャラに似ていたところから付けられたらしいが、確か大人になってから一時期漢字の名前(忘れたけど)にしていたと記憶している。大人になってペペはないだろうということなのだろうが、あまりペペの印象が強過ぎて結局元に戻している。父親のはげ照を演じたのは十朱久雄で、十朱幸代の父である。結構厳しくて怖い人だったとペペは語っていた。ボロットはプラスチック製で今見てもよく出来ていたと思う。声を演じていたのは辻村真人らしいが、ショッカーの怪人などどちらかといえば悪人声の人である。森山周一郎を悪人にした感じの声とでもいうのだろうか、という印象なので辻村の声には聞こえないのだが。中に入っていたのは150cmぐらいの小柄な人だったとペペは証言している。辻村はかなり小柄だったはずだが、ひょっとして中に入っていたのが辻村真人ではと勝手に予想してみる。
ちなみにこのドラマは東映お得意の1話のみ現存しているドラマの一つである。実際には保管されているのかもしれないが、放送に耐えうる状態にはないのだろう。同じ東映作品で同時代の「悪魔くん」や「河童の三平」あたりは全話存在しているのだが、この差はどこからくるのだろう(特に全話見たいわけではない)。その第1話のゲストは由利徹、原田清人、悠木千帆(後の樹木希林)などである。どの回かは不明だが、コント55号やトニー谷などもゲスト出演しているようである。