江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間 その2 | お宝映画・番組私的見聞録

江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間 その2

さて前項の続きだが、この作品に近藤正臣が出ていたことも意外と知られているが、何の役かといえばシャム双生児の片割れで、そのもう一方を演じたのがヒロインとなる由美てる子である。聞きなれない名前だが、それもそのはずで、映画主演はこの作品とやはり異常性愛シリーズの一本である「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」の二本だけなのだ。しかし本当はもう一本「徳川いれずみ師 責め地獄」で主演デビューを飾る予定だったのだが、撮影途中に失踪してしまう。まあ撮影とはいえ実際に縛られたり吊るされたりするわけで、Mっ気のない女性であれば辛かったのは容易に想像できる。今で言えばSMビデオみたいなものだし。その替わりに抜擢されたのが当時19歳だった片山由美子であった。東映の児童劇団の出身で、「ジャイアントロボ」(67年)でユニコーンの女性隊員を演じていたことは有名だ。その彼女が東映のニューフェース(12期)になった途端の仕事がこれである。泣く泣くやっていたそうだが、結局ほとんどの異常性愛シリーズに出演することになる。さて由美てる子だが、結局覚悟を決めたのか前述の二作品には出演して映画界を去っていったようだ。主演の吉田輝雄もこの翌年2本ほど映画出演した後、第一線から退き、クラブ経営など事業の方に精を出すようになっていった。

さてこの作品タイトルが「奇形人間」じゃなくても、内容そのものが奇形人間の王国を作るというようなものなので、DVD化とかCSで放送することとかも無理だと思われる。しかし封印作品とか言われながらも巷の映画館ではよく上映されることがあるようだ。客の反応はといえば、思わず笑いが起るとのこと。今見るとそんなにグロいことはないらしく、その陳腐な作りに笑ってしまうらしい。今日も日本のどこかで上映されるているかもしれない。