帰ってきたヨッパライ
最近、映画はCSで事足りるのでレンタルなどほとんどしないのだが、見かけて思わず借りてしまったのが「帰ってきたヨッパライ」(68年)である。あのフォーク・クルセダーズの大ヒット曲を、本人たちを主演にして映画化した作品があるとは知らなかったのである。しかも監督があの大島渚と聞いて二度びっくり。あの大島渚が普通のアイドル映画など撮るはずがない(実は大島渚の映画を見た記憶はないが)と思ったら、やはり普通の作品ではなかった。普通ならフォークルが唄いまくるような作品になるはずだが、そんなシーンは皆無(1シーンだけかな)。OP、EDこそ「帰ってきたヨッパライ」が流れるが、人前で唄える歌じゃないし。軍服姿の佐藤慶が登場してからは大島テイスト爆発といった感じである(大島作品には佐藤慶がよく登場するらしい)。内容も朝鮮人・韓国人問題がらみでテレビでは放映しにくい題材である。出演は他に渡辺文雄、小松方正、殿山泰司そして緑魔子くらいで少数精鋭といった感じだ。
さてフォーク・クルセダーズは北山修、加藤和彦、端田宣彦の三人組として有名だが、それはこの一年の期限つきで「芸能活動」を行った時のみの構成である。結成時は北山、加藤と他三人の五人組で、「帰ってきたヨッパライ」レコーディング時にも端田はまだ参加していなかったのである。短い活動期間ながら、発売中止になった「イムジン河」とかサ・ズートルビー名義(ずうとるびではないよ)で唄った「水虫の唄」とか話題の歌も多い。端田は、はしだのりひこと平仮名になってからはシューベルツで「風」、クライマックスで「花嫁」、エンドレスで「嫁ぐ日」とリーダーを務めたそれぞれのグループでヒット曲をとばしている。(杉田二郎がシューベルツにいたのは初めて知った)。北山と加藤も二人で歌った「あの素晴らしい愛をもう一度」をヒットさせているし、フォークルから派生した名曲って多いなあと今さらながら感じてしまった。
ところで、演技の方だが三人揃ってとてもヘタである。才能あふれる三人だが、そちらの方の才能はあまりなかったようだ。ミュージシャンだから別にいいのだけれども。