子連れ狼
久しぶりにメジャーなタイトルに触れてみる。お馴染みの萬屋錦之介主演「子連れ狼」(73年)である。まあ個人的には錦之介時代劇はスーパーヒーロー錦之介が一人でバッタバッタと悪人を斬り倒すパターンが多く、あまり好みではない。好きなのは必殺テイストな「長崎犯科帳」くらいだ。この「子連れ狼」も錦之介パターンに含まれるが今CSで放映中のを見ると思ってたより面白いなあと。というか、よく考えるとほとんどまともに見たことがなかったのである。全部で3シリーズあるのだが、見た記憶があるのはほとんど第3シリーズだったようだ。
まず主題歌は「しとしとぴっちゃん」で有名な橋幸夫の「子連れ狼」だと思っている人も多いかもしれないが、それは76年の第3シリーズだけである。第1、第2シリーズはバーブ佐竹の「ててご橋」だ。柳生烈堂は高橋幸治→西村晃→佐藤慶と何故か毎シリーズ替わる。個人的にはやはり佐藤慶の印象が強い。子供というのは成長するので大五郎も西川和孝から佐藤たくみにチェンジされた。その西川はといえば、市会議員になった後、殺人事件を犯し今や獄中の人である。やはり目の前で、一刀がバッサバッサと人を斬るのを見て育ったからであろうか。第1シリーズの第2話となっている「鳥に翼獣に牙」では、一刀が山本麟一、石橋蓮司、轟謙二など約三十人の賞金稼ぎ軍団と斬りあうが、ここでも石橋蓮司の武器は手裏剣だ。蓮司は「木枯らし紋次郎」、「暗闇仕留人」、「必殺仕置屋稼業」でも手裏剣が武器の悪人を演じているのである。そんなに手裏剣が好きなのか蓮司。さて、第2話となっていると書いたのは、実際には第2話には「乞胸お雪」というエピソードが存在していたからである。このサブタイの「乞胸」という言葉が差別用語にあたるという理由で抹消されてしまったのである。内容自体に問題があるかどうかは不明だが、存在しないことにされてしまったまさしく幻の回であり、陽の目を見ることもないと思われる。ちなみに片桐夕子、加藤武、内田朝雄、浜田晃などが出ていたらしい。