僕らはコンクリートジャングルの中で音楽を奏で、自然とつながり直すのだ。 | Work , Journey & Beautiful

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オルタナティブな学びを探求する

17時になる。たーんたんたんたたたん♪

どこからともなく、どこかで聞いたような、でもここでしか聞けないメロディが流れてくる。


ある時、この街に数十年暮らしている人が教えてくれた。「あの時報は、僕が子供の頃からこの街に流れてるんだよね。」この街とは、神田錦町のことだ。


神田錦町。もう少し広く捉えると神田・神保町。このエリアには新旧様々なビルが立ち並ぶ。前回、東京五輪のために建てられたビルが、今、取り壊され、新たなビルとして生まれ変わろうとしている。


スクラップアンドビルド。景観移り変わるこの街において、この時報だけは変わらずに流れ続ける。音が、環境そのものなのだ、この街では。「あの音を聴くと、街に帰ってきたなって思うんだよね」そう話す彼にとって、この音楽は故郷の原風景なのだ。


さて、そんなこの街で、まさに今大きく景観が変わろうとするこの瞬間の音を集め、新しい時報を作ろうというプロジェクトを、始める。新たな原風景を作るために。


思い返せば僕らは、誰かに誂えられた都市に働き、暮らすことにすっかり慣れ切ってしまった。そんな生き方に、心のどこかで心の底からうんざりしながらも、何かを諦めて僕たちはコンクリートジャングルの中を生きる。そして週末は山に行き、テントをはり「自然」を感じる。そうやって生きる僕らにとって、都市は自然とは分けられたものなのだ。


しかし、そんな生き方にはどこか無理がある。なぜなら、僕らは生まれながらにして、いや、そのずっと前から、自然の中に生き、与えられ、営んできたのだから。自然とつながらずに生きるなんてことは、どうしても無理があるのだ。


とはいえ、テクノロジーは不可逆だ。今更アスファルトを砂には戻せない。コンクリートのビルを森には戻せない。であるならば、僕らはこのコンクリートジャングルの中で、どのような自然の中で、どう生きるのか。僕たちは、コンクリートジャングルをどのように作り変えていくことができるのか。人間を中心にしようとした都市の次に、僕らはどんな場を生み出しうるのか。


僕らはこの街で音楽を作る。でも本当に僕らがこれから長い年月をかけて作っていくのは態度なんだと思う。その、第一歩。当日、そんな話は一切しないけれど。小難しい話を念頭におきながら、みんなで音楽を作ろう。


神田錦町のBGMをつくろう ~ Music for KANDA-NISHIKICHO ~