仕事における頭の良さとは何かを考えてみた。ー抽象化する力と具体化する力 | Work , Journey & Beautiful

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仕事をする上で求められる“頭の良さ”とは何だろうか。

プレゼンテーションの際にクライアントに時間がないのをみてとるや否や予定していた内容を要約し、ポイントを伝えるようにはなしを即座に組み立てる。

会議中皆の意見が煮詰まったときに、さっと意見を整理して、目的と照らし合わせ、「そもそも◯◯っていう視点から見るとどうなんだろう?」と疑問を投げかける。

相手の話を聞きながら情報を整理し、変えられるもの、変えられないものをセグメントし、変えられるものを優先順位づけした上で、「まずは◆◆から始めてみたら?」と提示する。



上記のような、仕事をしていて一般的に「頭が良い」と言われる人には共通点がある。

それは物事を体系的に整理し、一旦抽象度を高めた上で、概念的に課題をとらえ、アウトプットすることができる力に長けていることである。この力はよく抽象化とか概念化といった言葉で表される。


仕事と抽象化・概念化する力の関係とは?



この抽象化・概念化する力(コンセプチュアルスキルと呼ぶこともある)は仕事において不可欠な存在だ。そもそも仕事とは何かしらの意思決定をして実現することだからだ。

・組織の目標を達成するために自分達は何をなすべきか?
・より良い業務フローを実現するために何を改善すべきか?
・人材を育成するために、誰にどのような業務を割り振り、どのようなフィードバックを与えるか?
・何をリスクとして捉え、優先的に対策を実行するか?

こういった意思決定を行い、ビジョンを示し、実現していくことが仕事だ。そのためには、目の前の複雑な現実を整理し、課題を特定し、解決策をアウトプットする抽象化・概念化する力が欠かせない。

参考までに、この抽象化・概念化する力(つまり意思決定し、実現する力)が求められるのは組織を牽引する立場にあるマネージャーだ。各階層毎に求められる能力として下図のようなものが活用される(ロバート・カッツによるカッツ理論)。コンセプチュアルスキル(抽象化・概念化する力)は意思決定するため、コミュニケーションスキル(対人能力)はビジョンを実現するために必要だとしている。

カッツのスキルモデル



抽象化・概念化する力と対をなす「具体化する力」


一方でこういった頭の良さとは別に、もう一つ求められる頭の良さがある。それが「具体化する力」だ。

一つ一つの現象を整理し、要約し、抽象化していく(キーワードにまとめる)ことが抽象化・概念化である。これに対して、あるキーワードやコンセプトをもとに、「では具体的にどんな行動が求められているのか?そのためにはどんな工夫をすればいいのか?」を考えることを具体化と呼ぶ。

仕事は考えているだけで価値が生み出されることはない。必ず具体的な行動が求められる。具体化する力が高くなければ行動には結びつかず、「あいつは口ばかりだ」とか「言ってることは正しいんだけどね」と言われるのがオチである。

特に日本企業の現場では、若いうち(もしくはプレーヤーの立場)は概念的に考えられることよりも、具体的に様々な工夫を自ら考え行動できなければ評価されない。


抽象化する力と具体化する力の両方があってはじめて「頭が良いとされる」


この具体化と概念化というのは、対になる。そしてその両方が備わっていないとビジネスパーソンとして「頭が良い」ということにはならない。

たとえばプレーヤーとして優秀だったのにマネジメントになると結果が出せない人は世の中にたくさんいるが、こういった人の多くは抽象化する力が不足していることが多い。他方、頭はいいはずなのに中々プレーヤーとして結果が出せずにマネジメント層に上がれずに躓いてしまう人もまた多いが、こういった人の多くは具体化する力が不足していることが多い。


⇒参考:具体的に考える力を高める方法について