僕が高校生くらいから好きだったポップ歌手がいるんだけど、彼はドラマにも出ていたし、マルチに活躍していた方。
それが自分のキャリアを捨て、20年くらい前にアメリカに渡り、ジャズピアノに本格的に取り組み始めた。
小さい頃からの夢だった「ジャズピアニストになる」ために。
もちろん、最新曲なんて出さないし、昔の曲を懐かしんで聴いてたところにとんでもないニュースが飛び込んできたのだ。
「日本でコンサートが行われる」と。![]()
突然の帰国とライブ情報に驚き、そして即決でチケット予約をした。
え?もしかして歌う???![]()
事前情報には何も出ていないけど、ひょっとしたらの期待を込めて当日、一人で会場に向かった。
周りを見れば同年代のおじさん、おばさんばっかり。白髪のおじさんをみて安心した自分がいた。![]()
コンサートホールに入った。席は幸運にも5列目。ステージ上のグランドビアノがよく見える。
バンドマンもいない、楽器もない、あるのはピアノだた一つだけ。
開演時間。
ご本人登場。あー懐かしいなぁ。あとで聞いた話だと僕よりも一回り以上も歳上だったのに、びっくり。つまり60歳半ばになる。
いつものライブなら観客が立ち上がって迎える、はずが誰も立ち上がらない。静かに座って待つ
その空気はまさにピアノコンサートだった。
で、結局、
歌わなかった!!!!![]()
「今日のコンサートは2部構成です。」
あ、なるほど。1部ピアノ、2部で歌うんだねと勝手に思ってたけど、全然歌わずに終わってた。
え?ファンの方はわかってたの?うん、きっとコアなファンの方々はわかっていた。
「ボイトレをしていないから歌えないし、ポップシンガーを辞めてまでの決心をしての渡米だったから」
昔の曲をピアノアレンジして演奏。観客がそれに合わせて口ずさんでいるような、つまりカラオケ?なのかな。
いや、僕はあなたの歌声が聴きたかったんだよ。![]()
確かに曲間のMCでは声もくぐもっているし、なかなか声量が小さい気がした。
結果、ピアノコンサートだった!!!!![]()
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悪くはないけど、物足りない・・・・・。
でも、行って後悔は全然なかった。
だって、ご本人がとても楽しそうにピアノを弾いていたから。
あの表情は「やっと一番大好きなピアノを弾いていられる!」だった。
立ち上がって、大団円を迎えたかのようにお辞儀をして、ああ終わりか、と思ってたら、人差し指を高く突き上げて
「もう1曲!」とまたピアノに向き合う事、3回!
楽しそうにしている人を見ているとこちらにも感染してしまう。
50歳を過ぎても60歳を過ぎても好きなものを好きなことをやり続ける事を教えてもらった気がした。
人生は短い、とよく言われるし自分も既にとっくに折り返しを迎えている年齢だけど、まだできる事があるんじゃないか?本当に好きな事をやっているか?と自問自答したコンサートだった。
帰宅して妻に報告、そしてやっぱり第一声は
「歌わないんかい!!」
だった。![]()
のちのち、Wikipediaで調べてみたら相当の覚悟をもって歌うことを辞めて、ジャズに取り組んでいた事がわかった。僕の勉強不足だった・・・。![]()
でも、僕がニコニコして帰宅して、楽しそうにコンサートの話をしながら夕ご飯を一緒に食べたらそんな僕を見て、妻も楽しそうで安心した夏の日だった。![]()




