悔しさいっぱい | 走る不動産屋の2代目日記 season4

走る不動産屋の2代目日記 season4

不動産屋の日常を書いています。そして、走ります。愚痴ります。 
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 仕事ついでに高校に書類を届けた。

武道場がちょうど見えた。

道着の注文が済んでない、体操着を着た新一年生が一生懸命、突き蹴りし気合も入ってるのが外からわかる。


今日はスーツじゃなくて、売り物件の看板を外しに行ったつなぎを着ている俺を見つけて、みんなの声が揃った。 「こんにちは!!」



主将が神妙な顔つきで近づいてきた。

「監督、辞めちゃうんですか??」   え??何で知ってるん?? まだ極秘なはずだよ。


「今日、ミーティングやったんですけど、顧問が普通にそう言ってたんで・・。」



なんで言っちゃうかなぁ!! まだ後任だって決まってないのに。



「監督、辞めるんなら私も辞めたいです!!」  そう言い出したのは、この前自転車で自爆したMだった。 おー、部活ちゃんと出てきてるじゃん!!



まさか、ここまで知れ渡ってるとは思わなかったからびっくりしたけど、いつかは話さなきゃならない事なんだよな。



新一年生はOBの竜に任せて、2、3年生の20人を集めて畳に座った。



「もうちょっとちゃんとしてから、話すつもりだったんだけど、もう顧問から聞いてるみたいだから話すよ。・・・・監督を辞任する事にしました。 理由はみんなも知ってのとおり、今度社長になる事になったから、どうしても今以上に時間が取れなくなっちゃうんだ。

このまま、いい加減に来れる時だけ来るってのはやっぱり、俺にはできないし、君たちに申し訳ないと思う。

だから、ちゃんと毎週来て指導してくれる監督を探して、託そうと思うんだ。ホントにみんなには申し訳なく思ってます。

本音を言えば、後悔するかもしれない・・。でも、3年間、俺なりに一生懸命やってきたつもりだし、全国大会にも毎年、出場できた。

まぁ、後任が決まるまでは俺が責任を持って指導に来るつもりだから、6月の新人戦が最後になると思う。

みんな、最後に俺と一緒に頑張って欲しい。俺が監督を辞めるのを後悔するくらい、見せ付けてくれ。」



話してる最中、口がゆがんで目がかゆくなってきた。 我慢しろ。


話し終わって、みんなを練習に戻した。


見なければ良かった・・・Mとこの前、全国大会に行った2年生のアキが泣いてる姿を見てしまった。


けっこう、あっさりかなと思ってたけど泣かれちゃった・・・。



Mはこの前の自転車事故の時に部活に復帰するように説得したばっかりだったし、アキは全国大会以降、ものすごくヤル気になってくれてた。



2人はまだ、大会の組演武で組むことにわだかまりを持っていた。

2人を呼んで話をした。

「泣くなよ~。あのな、最後に2人で6月の大会に出て欲しいんだ。」


「・・・やります。」「・・・はい。」 もう真正面から顔を見れない。もらい泣きしそうだったから。




すぐ帰るつもりだったけど、話をしてたせいで遅くなった。 主将が「突然すぎますよ!」と言われたけど、


「最初に話す時はいつだって突然って思うよ。別に今日で終わりじゃないしさ。ホントにごめんな。」と車に乗り込んだ。



きっと後任はすぐ決まるはず。 あの人が依頼を待ってるんだろうから。

主将のSは気づいてないかもしれないけどね。 「新一年生の指導方法なんですけど、K先生がこうしろって言うんで2年生に指導させてるんですよ。」


(監督は俺なんだよね・・・。K先生はただの俺の仮面師匠なだけだからね。俺の指導方法よりもそっちか、やっぱり。)


今までと何も変わらない。そこにただ、俺がいなくなるだけのこと。


生徒たちのために、自分のために、家族のために・・・これが一番の解決策。



家に帰って、夕飯の時嫁さんにも聞かれた。

「ホントにいいの?後悔してるんじゃない?」


「半々かな・・・。」




日曜日に久しぶりに2人で出掛けた時、ふと思った事がある。

ただ、ホームセンターに行って、アイス食べて、庭に芝生の種をまいただけなんだけど、こんな事もしてあげられてなかったな・・、と思った。


仕事休みの土曜日は必ず、高校の部活に行って指導してたから、ほぼ一日がつぶれてた。

日曜日は技術研修会とか、全国大会とか、やっぱり少林寺拳法の行事ばっかりだったし、嫁さんはどうして過ごしてたんだろう?って考えた。


3年間もずっと・・・・。   





ただ、ひとつだけ・・・一つだけ生徒たちに約束した事がある。

「監督を辞めてもみんなの出る大会は見に行くつもりだし、俺はいつか必ずここに戻ってくるから。」