新「わたしの愛聴盤/曲」その15 モーツァルト 《歌芝居 魔笛》ベルイマン監督映画(動画) | 楽逍遥の友@鎌倉・湘南

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ふれあう人たちのこころとからだと生活を尊びたい。
プロフィールのわたしの画像は、中国人の親友が作ってくれた“楽逍遥”の印章。カバー画像はネパールでヘリに乗ったときに撮影。

イングマール・ベルイマン監督の映画「モーツアルト作曲:魔笛」とそのDVDは、非常に内容が気に入っていて、視聴の頻度も、愛聴を続けている期間も長い。

旧「私の愛聴盤」でDVDを選んでいるが、新「わたしの愛聴盤/曲」でも、そっくり選定対象に引き継ぐ。記事内容は内容豊富なので、整理し直して載せることにした。

しかし、旧「私の愛聴盤」で愛聴の対象にしていた紀伊国屋発行・販売のDVDは廃盤になっていて、現在入手が難しい場合もあると思うので、新「わたしの愛聴盤/曲」では、全曲視聴できる動画(Youtube)を新らたな“愛聴メディア”ということでご理解いただくことにし、今回記事にした。

下に、ベルイマン監督の映画「モーツアルトのオペラ魔笛」の原音源ソースの、魔笛全編の動画(YouTube)のURLを(魔笛全編の動画)を示す。

https://www.youtube.com/watch?v=ufQxByt7dNM&t=6s

 

(注)字幕の言語は変えられます。動画の視聴画面の下部に、動画ツールバーがあります。その中の「設定」アイコンをクリックすると、「字幕」の選択肢ボタンがありますので、その中の言語を選んでください。

 

これが、今回、新「わたしの愛聴盤/曲」として示す動画(YouTube)である。“愛聴メディア”と呼んでおく。

 

 

1. DVD、動画の元になった映画について

日本では、1976年の上映会にてはじめて公開。

もともとはスウェーデンの元日のテレビ放送用の作品であったが、その芸術性の高さから映画に仕立て直され、諸外国にも配給された。 日本では1976年に公開された。映画上映会が銀座ヤマハホールで行われ、2回だけと限定されて上映された。わたしは予約しておいて、期待に胸を躍らせて映画を鑑賞した。

観た人の間で素晴らしい映画だったと評判になり、観られなかったので残念だったとの声が多かった。それでその後も何度か2回セット上映会が催された。わたしは上映会の情報を関心がありそうな人に紹介し、よかったと非常に感謝された。

 

ヤマハホールでの上映会用のチラシ

 

2.映画の冒頭、「魔笛」序曲演奏のシーン

・小さな劇場でオペラ魔笛が上演されていて、その舞台を撮影しているという設定になっている。カメラは、観客の表情を丁寧に追っている。

・観客は、年齢、種・民族系、国所属、いろいろごちゃ混ぜである。

・ある少女の顔をクローズアップすることが多いが、これはベルイマン監督の娘である。

・そのことは、ベルイマンが、作ろうとしている映画は、若い人たちにとって、よく理解できる内容で、しかもこの上なく楽しいものでなければならない、と考えたことを示している。また、出身がどんな人であっても観客として招かれるということも・・・

 

3.はじめてベルイマン監督の映画・魔笛を観た感想

序曲に次ぐシーン=映画の技法を多用した抜群の面白さ、楽しさだった。

〇最初の大蛇退治の場面で、ゴジラのぬいぐるみみたいなのがヨタヨタ出てきて、笑ってしまい、オペラという堅苦しさが吹っ飛んでしまった。

〇幕間には、三人の侍女や夜の女王が「禁煙」の標識の下でタバコを吸い、タミーノとパミーナはチェスに興じている。マンガ読んだり、他のオペラを練習したりする歌手がいる。

パパゲーノが、休んでいて前奏が始まってあわてて出て行くなどのユーモアが大いに笑える。

〇オペラ劇場の中継みたいな場面がいつのまにか普通の映画のような自然の中の映像に変わる。〇3人の童子は手動の飛行船でやってくる。

等々いろいろ映画の技法も生かして、実に愉しい「歌芝居(独語でジング・シュピール)」の世界を作り出している。オペラ映画というより大いに笑い転げられるエンターテインメント映画である。

 

4.上映会では参加者に「案内冊子」を配布

上映会で配布された「案内冊子」は、表紙が下のような、A5版のしっかりしたパンフレットだった。

編集発行 ミリオンコンサート協会

 

(1)「案内冊子」(パンフレット)の内容

このパンフレットは、映画上映時に配布されるものとしては、驚くほど内容が充実している。これに目を通すと、オペラ/歌芝居の魔笛、ベルイマンが制作・監督した魔笛の内容を深く理解したうえで視聴して存分に楽しむための情報満載で、大いに情報価値がある。

●パンフレットの終わりに近い方には、『ベルイマンの言葉ー「魔笛」を私はこう考えるー』というページがある。リブレット(台本)の註解という形で、「魔笛」に対する彼の考えを述べている。これは出来上がった映画を観る際非常に参考になる。

●映画評論家(投稿者の数が最も多い)、音楽研究者、歌手が多様な視点から投稿し、座談会もしている。

(2)パンフレットを読んだ結果、新たに知った大きいこと

【その例】ベルイマンは、元々のリブレット(台本)を大きく変えているところがある。

それは、ザラストロが部下と話し合ったり、指示をしたりする場所のこと。元々のリブレットでは、ザラストロも部下も立ったままである。ベルイマンはこれを、ザラストロが部下と共に13人で長テーブルに並ぶ形に変えている。まさに、いわゆる「最後の晩餐」の構図である。これえなら、子どもでも見慣れていて、ストーリーが分かりやすくなる。ベルイマンの映画作成がねらいどおりになるのである。ザラストロの王国がキリスト教で統御されるべき、とベルイマンが考えたわけではない。

 

5.DVDの発売について

(1)はじめての映画鑑賞からDVD発売・購入までの期間、「歌劇魔笛」をどう聴いていたか

・その期間はおおよそ37年間である。

・その期間、ベルイマン監督が作った映画・魔笛を映像を含む全体作品として視聴することはなかった。視聴しようとしても媒体がないのである。これは非常に残念なことで、DVDの登場をひたすら待つしかなかった。それにしても37年間は長かった。

ベルイマン監督が創ってくれた「歌芝居」の世界を味わった自分としては、CDの音だけの世界はどうしても物足りなく思ってしまいます。

 

(2)DVDの発売・購入

制作年: 1974年 制作国: スウェーデン

発売元: 紀伊國屋書店  発売日:2012年11月30日

販売元: 紀伊國屋書店

ネット情報では、現在新品、中古品ともに通販等で購入可能(Blu-rayもあり)

ただし、販売サイドと購入サイドの売買の調整の環境次第では、求める商品が希望通り入手できないこともあるかもしれない。