とってもカタイ話の続き。
  学習指導要領という、言わば教育内容の羅針盤が存在する。その羅針盤は、ほぼ10年に一度の割合で改訂されている。この改訂は一般の方々には分かりにくい。伝わりにくい。しかしながら、それはそれは大変な時間と労力と専門的な検討を、慎重かつ多方面から重ねた上で改訂をしているのである。理由は簡単だ。「社会の変化に対応する必要があるため」、である。
 この数十年間、社会も家庭も教育現場も子ども達も変化が著しい。急速に変わってきた。皆さんも日々感じておられる通りである。一番変わらないのは、中高年の意識かも知れない。
 さて、ここ四半世紀の変化を学習指導要領上から追ってみたい。分かりやすくするために、「教育的課題」(行の前半)と「江畑哲男の学習指導要領の読み解き方」(行の後半)を並列してアップしてみた。
(ア)まずは、学力低下(きわめて深刻!、世の人々にはなかなか分かって貰えない)。だから、学習指導要領で「学力」ではない、「生きる力」の育成が提唱されるようになったのだ(平成10年の改訂)。
(イ)次に、言語能力の不足、対人関係構築能力不足。だから、「言語活動の充実」「言語能力の育成」は叫ばれるようになった(平成20年答申)。
(ウ)そして今回。本質を見抜く力の低下。だから、国語の共通テストで、「論理の吟味」「(図表も含めて)複数情報の把握」が出題されるようになったのであろう。
 ……前回に引き続いて、とっつきにくい文書(文部科学省)を「江畑哲男流」に読み解いてみた。