良い本を読んだ。

 『ワクチンよりも大切なこと』(本間真二郎、講談社ビーシー)がそれだ。
 私たちはもう少し冷静になった方がいい。
 一番のポイントは下記である。
 「陽性者」と「感染者」の誤解だ。
 PCR検査でウイルスが検出されると「陽性」となるが、実は、そのまま即「感染」ということではない。この何とも基本的な事実が、とても分かりやすく書かれてあった。
 すなわち、図式で示せば「検査陽性者数」≠「感染者数」≠「発症数」≠「患者数」ということもなる。
 PCR検査で分かるのは、ウイルスが「いる」か「いない」かだけ。
 PCR検査で確定できないことはいくつもある。5つの例が挙がっていた。
① 「ウイルスが生きているか」「死んでいるか」もわからない。
② 「ウイルスが細胞に感染しているかどうか」もわからない。
③ 「感染した人が発症しているかどうか」もわからない。
④  「陽性者が他人に感染させるかどうか」もわからない。
⑤  ウイルスが「今、いるのか」「少し前にいたのか」もわからない。

  では、感染とは何なのか?
  「感染する」とは、「生きたウイルス」が細胞内に入ること。
  たとえ気道に入っていたとしても、気道細胞の異物を排除する作用が強ければ、感染にはいたらない。
  一般には、感染したが症状が出ない場合を「不顕性感染」、感染して症状が出る場合を「顕性感染」という。不顕性感染では、通常症状が出ないまま(おもに自然免疫系の働きで)治っていると考えられます。通常の感染症の場合、症状が出ない場合は感染しているかどうか分からないわけだから、病院の受診も検査も薬の服用もしないことになる。

  新型コロナウイルスをもらっても発症しないことの意味と、発症しても重症化しないことの意味。ウイルスをもらった側の免疫力によって決まる。
  現在の日本では、「検査陽性者数」=「感染者数」であり、ときには「感染者数」=「発症数」=「患者数」としてひとくくりにされているが、明確に区別する必要がある。
  筆者・本間真二郎氏は、わかりやすく花粉症の例を挙げていた。
  花粉症アレルギーの人は、スギ花粉が鼻や目の粘膜に入ったら、鼻水鼻づまりなどの症状が出る。
  一方、アレルギーのない人は、花粉と接触しても症状は出ない。
  花粉のPCR検査を行えば、全員が陽性になる。花粉の検査が陽性でも症状がなければ、花粉症とは言わない。つまりは健康な状態であり、病気ではない。それと同じ、と言うのである。
  ハテサテ皆さん、この解説をどのように受けとめますか?