冬の桜


私が小学生の頃だった

夏休みや冬休み

春休みも

大好きな祖母の家に

度々遊びに行っていた


当時祖母の家で飼っていた

イタリアングレーハウンド犬の

マキちゃんを連れて

近所の桜樹広場へ

よくお散歩に出掛けた


並木道を歩いていると



ねぇ◯◯ちゃん、

冬の桜はどこにいるか

知ってる?〟



え〜?お婆ちゃん

冬に桜はいないよ…?

何を言い出すのか

不思議に思っていると



〝冬の桜はね、ひとえだの中で

眠っていて暖かくなると

一斉に顔を出して

追いかけっこしながら

咲くんだよ〟



へぇ~!寝てるんだ〜

何だか熊さんみたいだね!


二人して大笑いした遠い日





この季節になると

桜の開花が待ち遠しくもあり

祖母との

懐古の念に駆られる



お婆ちゃんも

マキちゃんも

そして

ついにtetoまでが

逝ってしまった



春 待ち侘びて

温む

風光る

あの桜並木


手をつなぎ

走っては

立ち止まり

ただ見上げていた

私は


幸せだったね






愛する者がそこに居たから