退院の日は2日後と決まった。

それなのに私は気が重たいままだった。

今日の夕方、母はいつも通りやってきて、そして小石川から聞くのだ。

それを思うとご飯もろくに喉を通らなかった。


母はどんな気持ちでそれを聞いてどんな風に自分の中で折り合いをつけるんだろう。

お腹を痛めて産んだ子供がこんな事になるなんてどうしたら想像できるだろう。

私はその時は自分の保身より母の気持ちを考えて嘆いた。



夕方、母はいつもと同じようにやってきた。

私の夕食時間を一緒に過ごしたら帰るのがいつもの事、子供は私だけじゃないので母は家に帰って姉たちの夕飯の仕度もしなくてはならない。

私は母の目をまっすぐ見つめる事ができなかった。

昨日、小石川と決めたとおりに、母に

「小石川先生が呼んでる」

とだけ告げた。

母はすぐ小石川の元に向かった。

15分くらい、私は何もせず待った。

母が戻ってくると私の横に座って

「聞いたよ」

と言った。

私はうつむいていて母がどんな表情で私に言ったか知ることは出来なかった。

言葉のトーンも怒っているようにも聞こえたし、そうじゃないようにも聞こえた。

「うん」

私はそう言った。

母は何も言わなかった。

ののしられたり泣かれたりするのかもしれないと覚悟していたけれど母は黙ったままだった。

「ごめん」

私は一言、そう言った。



夕食が運ばれ、母が帰る頃には母はいつも通りだった。

「退院の日は休み取るから」

そう言って母は帰って行った。




なんてだらしない子だと、怒鳴られると思っていた。

お前なんて産まなければよかった、恥ずかしいと言われると思っていた。

その方が、ずっとよかった。

ずっとずっとよかった。