「俺を騙したのか」
しばらく画面をずっと見ていた。
島田。
今まで島田に私はどんな話をした?
家がどこにあるのかも知らないはずだ。
ああ、でも携帯の番号1つでそんな事簡単に調べられると聞いた事がある。
怖い。
私はとりあえず返信した。
「ごめんね。信じてもらえないかもしれないけど実は体調を崩して入院してた。携帯は家に置いたまま緊急入院だったから返事全然出来なかったね。今日、朝やっと退院できて今はお母さんが来てくれてる。今月末までは自宅療養だって。
騙したり、そんなのはないからね!」
もっと可愛い文面を考えたけれどとりあえずこれでやめた。
信じないかもしれないなあ、そう思う。
私だったら信じない。
とにかくこれで島田からまたさらに金をひっぱるというのは難しくなってきた。
と言う事は今月の支払いがいよいよ厳しい。
どうしよう、どうしたらいい。
新しく店を探すにも、今月は夜は出られない。
それに今後もあんな生活はもう、出来ないかもしれない。
母はきっと怒るだろう。
ただでさえ病気の事があるんだ、母には当分逆らえない。
とりあえず降りなきゃ。
私は携帯を持って母の元に戻った。
「なあに、あんた遅いじゃない?」
母は言いながらカーディガンを私にかけた。
「寒くないよ」
「いいから」
母の優しさや今までの気遣いに泣きたくなった。
自分が今まで何をしてきたのか、思うと悔やみきれない。
それでもやめるわけにはいかなかった。
じゃないと、もっと母を泣かすことになる。
島田からはほどなくして返事が来た。腹の底では疑っているのかもしれないがメールではお大事に、などと打ってあった。私はそれには返信せず、ひとまず眠る事にした。私にとっては長い入院生活で完全に昼は眠くなるリズムが身体に生まれていたのだ。
夜、起きると姉も弟も帰ってきていた。
2人も私の退院を祝ってくれ渡しはウーロン茶で乾杯した。
懐かしい我が家に帰って来れた事を本当に実感できた。
部屋に戻っても眠れず、天井を見ていた。テレビを見たり雑誌も読みたいけれどまだ母が許さないだろう。
無理がたたってまた病院に戻るのもあってはならない。
しかたなく電気を消そうとしたその時、ドアがノックされた。
姉だった。
「どうしたの」
さっきとは違って深刻そうな表情を浮かべて私を見ている。
姉はベッドで寝ている私に近付き
「あんた、借金あんの?」
そう、言った。