前回電車撮ってたら彼女にフラれた話が好評だったので、もう一つ爆弾を投下しよう。

 

水族館デートを蹴って電車した話

 

早速だが皆さんは何の季節が好きだろうか。私は秋一択だ。正直春に咲き乱れる桜も捨て難いところではあるが、私は紅葉の景色が何よりも好きだ。いや、少し語弊があった。紅葉とDENSYAの風景が何より好きなのだ。ローカル線と紅葉風景。。。これに勝るものはない。紅葉は正直何でも映える。順光はもちろん、逆光や曇りでも撮り方次第では美しい一瞬を簡単に切り取ることができる。

今回はそんな紅葉が引き起こした、痴話喧嘩の物語…

 

 

 10月中頃、北海道では徐々に葉々が色付き始め、美しい紅葉が形成される。場所によっては散り切る前に雪が降る場所も、、、

電車オタクとしては絶対撮りたいではないか。

 

 同じ頃、当時付き合ってた彼女からオープンしたばかりのAOAO SAPPOROに開業した水族館に行きたいと誘われた。コイツとは付き合って計1年半になるが、放課後デート以外これといったデートをしたことがない。原因は言うまでもない。電車の予定が渋滞しているからである。

 思えばあいつからここに行きたいと誘われる機会はそんなに多くなかった。珍しく愛する彼女がここに行きたいと誘って来たのだ。無論行かない理由はない。

 

 しかし折しも時は葉が紅に色づく季節。電車マニアたちは毎週ライブカメラと睨めっこし紅葉の進捗状況を監視するのがこの時期の毎年の風物詩となっている。何が言いたいかお分かりであろう。

なんとあろうことか、紅葉全開の週末とデートが被ってしまったのだ。

 

電車with紅葉 or 彼女とのデート

 

どちらを取るか、、、

私の答えは無論決まっている。

 

電車だ。

 

いや、これ以外なくね?他に選択肢ある?

私は一人の女のパートナーである前に電車博士(デンシャ=ヒロシ)なのだ。

こんなの即決で電車である。

先輩鉄の名言「女はいつでも遊べるけど電車はその日、その時間しか走らない」

まさにその通りである。デートは来週でええやん。

あ、来週は来週で紅葉×雪が撮れそうだから再来週でwwwwww

 

自然な流れでデートの予定を突放し、無事友達の車の席を確保、私はAOAO SAPPOROではなく、富良野へ向かった。同じ北海道だし同じようなもんやろ。

 

午前5時前、富良野駅着。

駅が開錠され入ってみると計画通り。そこにはタラコ×2が佇んでいた。最高かよ。

私は一瞬で電車フェイスになると同時に、デートを蹴ってこっちに来た私の選択は間違っていなかったと早くも思った。彼女、ごめんな。

お前の彼氏、電車オタクやねん

 

 

 

にしてもタラコちゃんかっこいい。まさに走る紅葉である。(?)

これだけで来た価値があると言っても過言ではない

 

 

まずは東鹿越への送り込み回送列車を適当に1枚。
東鹿越という字列をかなり久々に見たが、、、
車両はもはや懐かしさすら感じる北海道色単行。この頃はまだかなりの数が在籍していた。
この日は天気も良く、雄大な芦別岳の山体が姿を見せてくれた。紅葉に朝日ブーストがかかり橙に色づいた山々は、電車に全てを賭ける我々を歓迎してくれているようだ。
「この日は天気も良く」と白々しく語っているが、いうまでもなくもちろん予報はチェックしており予報通り。デートをキャンセルして電車撮りに来たら晴れたのではなく、電車が晴れそうだからデートをキャンセルしたに過ぎない。
撮り鉄として最善の選択をしたまでだ。
 
 

 

少し西へ移動し赤平へ。

まだどの車両が入ってるか分からず、何色が来るかと待機しているとこれ。

この車両は近鉄観光特急『あをによし』である。

旧来の特急列車を改造し、大阪〜奈良〜京都を乗り換えなしで結んでいる。

車体カラーには天平時代に高貴な色とされた紫色をあしらい、国内外問わずたくさんの方にご利用されている観光列車である。普段は4両で運行しているが、なぜか今日は1両編成だった。なんでだろう。

 

 

 

さっきの鉄橋を上から

今度は国鉄一般色塗装の車両が来た。

余談だが私はあまりこの塗装が好きではない。原型至上主義を語る私にとって本来国鉄色は大好物だが、キハ40形50年の歴史を遡っても国鉄時代にこの塗装を纏っていたのは1両たりとも存在しない。つまりそれっぽい塗装を施した『偽りの塗装』なのである。

「お前が1番や」とか言いながら実際はエブリデイ電車だった、偽りの愛を展開した私にぴったりの車両である。(嘘ですそこにちゃんと愛はありました)

 

 

 
まもなくすると根室線はお昼休みに入るため、石北線へ。
 
 
 
この日の大目玉、奥白滝俯瞰。
 
見よこの絶景を。だんだんフライドチキンに見えてくるほどにオレンジである。正直、これが撮りたくてデートを蹴った。この時既に石北線にH100型が投入されることが決まっており、この光景は来年撮れない(=今年が最後)なのは明白だったので絶対に抑えたかった1枚。往復40分の山道はキツかったが、最高の1枚を手にすることができた。
 
 

 
旭川に戻るがてら1日1往復の普通列車を追っかけ。今やH100形1両での運転となってしまった4622D
所定はキハ40形2両だが、この日はなぜかキハ54をサンドイッチする組成だった。

 

 

 
上川駅にて40分の小休止。
ここで4622Dとはお別れし、先を急ぐ。
 

 
4622Dということは時間的に今は亡き特急大雪4号の時間だ。第n石狩川橋梁を渡るキハ283系3両編成紅葉バック。少し車体に影がかかってしまったのは残念だったが、石北線らしい風景が撮れた。それはそうと私の石北特急のイメージといえば2025年現在に至ってもキハ183系なのだが、キハ283系が石北線にやってきて3両で走ってるシーンはこの時が初撮影だった。大幹線を6両や7両で車体を右へ左へ改札を通過する撮り鉄のように傾けながら走るシーンを知ってる者からすると物足りない、言葉を選ばず言うとプラレールのような編成を組んでタラタラ走っているシーンを見ると見窄らしくみっともない。もっとも、デートを飛んで電車撮ってる方がみっともないのは言うまでもないし、これで破局してる方が見窄らしい。
 

 

日没したのでこの日の業務は終了。旭川でラーメンに舌鼓を打ち、926Dで帰る。

こちらも今は定期運行から退いてしまったキハ150形大窓車の北海道色だ。後ろのキハ40 1740も既に鬼籍入りしており、何気なく撮った1枚だが2度と見れない組み合わせ。

全て2年前の画像だが、こんなにも変わるものなのか。

 

 
926Dで下車後、これまた鈍行で帰る。
発車待ちの間暇だったので撮ったカムイが我々を見つけた途端ハイビームにしてくれた。嫌がらせのつもりかサービスのつもりかわからないが、我々はサービスと受け取った。おでこのライトが点灯して3灯になった姿はかっこいいを超えてもはや美しいまである。あ、彼女の方が美しいけどねwww by当時の自分
789系1000代も現在は大部分がLED前照灯に交換され、この姿は今でも見れるのだろうか?
この車両も置き換えが発表されたが、この時はまだライトも更新前だし、15年くらい走ると思ってたので適当に撮ってた。
この時は「やったハイビ(ハイビームの略)や!」とはしゃいでいたが、彼女の機嫌はロービームであることを忘れているのではなかろうか。
 
 
 
月火水木金と高校へ行き、迎えた週末。
普通なら先週見送ったデートの埋め合わせをするが、あまり俺をナメられては困る。
まだ紅葉は散っていない。
 
無論、電車だ。
 
ということで土曜日の朝9時ごろ家を飛び出し、、、?
 
ちなみに話は逸れるがうちの高校は自称進学校なので2週に1回であるが土曜登校があった。今や週に3回しか大学に行かない怠惰大学生からは考えられない脅威の週6登校であるが、何を隠そうこの日は登校日である。もうお分かりであろう。
私はデートはおろか、学校すらすっぽかしている。
学校は正午過ぎに終わるため、親には学校終わったら直接泊まりで行くと言い訳したが、朝1番に制服を着て向かった先は学校ではなく最寄り駅である。ここで前作でもお見舞いした必殺技、【リュックに私服隠 し】を敢行。
駅の多目的トイレで事前にリュックに仕込んでいた私服に着替え、見事登校途中の高校生から、ただの撮り鉄に変身できた。
土曜登校の出席率はクラス全体でもお察しだったのでこの程度の扱いでいいのである。土曜に登校させる方が悪い。もう進学先も決まっているのだ、電車のほうがバリューある。
この着替えにより動きやすくなったほか、もし汚損した際の予備の着替え(制服)もゲットできた。一石二鳥だ。
 
同行者と10時過ぎに新千歳空港で合流し、そのまま南富良野へ。
道中石勝線の紅葉がええ感じやったので撮っていくことにした。
 

 
鬼峠のカーブで1枚。石勝線といえばキハ283だが、キハ261も充分魅力的な車両である。特にLEDのおおぞらのHMはめちゃくちゃ推し。
デートどころか学校も突放して撮るDENSYAは背徳感満載。脳汁ドバドバで占冠の山中で倒れそうになった。
 

 
続いて今は亡き金山駅で大嫌いな国鉄ツートンを1枚。
嫌いなら撮るなよという意見は黙ってろ。
そういえばこの車両、クマと衝突してお陀仏となったキハ40 1766である。
翌年3月にこの路線の廃線が決まり記録として撮影したが、まさか車両の方が先にポアされるとは思わなかった。
 

 

夕食は旭川のジェネリックインデアンことカレーのチカラで。

北見発祥のインデアンの暖簾分け店であるが先日札幌への出店が決まった模様。

バカ舌なのでインデアンとカレーのチカラの味の違いがわからないため、札幌で手軽に十勝の味を味わえることになってしまう。現地に行くから旨さが最大化されるのに、価値大暴落である。

 

 

 

たまねぎカレーを堪能した後は本日の宿がある丸瀬布へ。

まだ10月半ばであるが途中で雪が降り出した。今年初雪である。これは計画通りのカットが撮れそう。明日に期待が持てる。

 

宿は昔からやってる老舗旅館といった感じで、決して綺麗・快適ではなかったが昔ながらの雰囲気でとても落ち着きがあった。

 

それはそうと時期が時期なので暖房を入れる季節となり、燃料代としていくらか追加料金が取られたが、暖房器具の使い方がわからず、かといって時間も時間なので女将さんに聞きに行けるはずもなく、結局金だけ取られて寒い部屋で布団にくるまりながら寝た。

こちとら真冬の釧路で車中泊したんだ、布団があるだけ良心的じゃないか。

 

 

 
翌朝は5時に起床。5時半には宿を出た。
大人しく札幌で彼女といた方が健康面でも精神面でも快適そうだが、我々は電車マグロ、止まることを知らない。止まったその瞬間が己の限界なのだ。
起床後、瀬戸瀬で白滝シャトルの送り込み回送を撮ってから、たまねぎ臨の撮影へ。
わかりにくいが後ろに機関車が併結されており、PPになっているのがわかる。
 

 
少し北上して奥白滝のパーキング。
10月中旬だがうっすらであるが完全に雪が積もっている。
今回の狙いは紅葉×雪、本来は共存しないはずの2つの事象を1枚に収めるのが目標だ。
雪が降り始めると雪の重みで紅葉の散り具合が加速してしまう。まさに一瞬しか見れない「幻の光景」なのだ。
 
とはいえ石北線はしばらく列車が来ないので一旦宗谷線へ。
軽々といっているが、丸瀬布から塩狩までは100km以上ある。良い子は真似しないように。
 

 
紅葉をバックに走るキハ40 1716
通常宗谷線でキハ40による運行はこの時時点でも2年前に終了しているがキハ54の予備的な感じで入ってた、と思う。詳細な理由は覚えていない。
この車両は翌年の改正後も生き残ったが、なぜか1年間一切運用には出て来ず、つい先日釧路で解体された。
後から思ったが、車両後方の木のオレンジから緑のグラデーション、なんかキモくね。コラ画像にしか見えない。
 
 
 
後追いでH100型の下り普通列車も撮影。
自分はH100形肯定派だが、否定派だったとしても認めるであろう圧倒的な紅葉。
737系以外の車両ならきっと映えるだろう。
ただし737、お前はダメだ。
 
これが終わったらまた来た道を100km戻って白滝へ。
先週も登った奥白滝俯瞰に挑む。
登り切った瞬間、勝ちを確信した。
 
 
うおおおおおおおおおおお!!!
これが撮りたかったんだよ!!
昨年Twitterでこれのキハ183系verのカットを見て、こんな美しい景色があるのかと電撃が走った。
車両は違えどその風景が今目の前にある。
これを撮った時は手が震えた。
 
これを撮ったらもう石北線には用はないので、また100km戻って宗谷線へ。
何気にキチガイ行程である。道北を股にかけた反復横跳びだ。
 
 
塩狩でサロベツ1号を撮影。
まだ紅葉の見頃までは時間がかかりそうだが、わざわざこのためにここまで来ないので記録として1枚。
 

 
サロベツ1号撮影後、その足で名寄へ。
ここへ来た目的はキハ40の宗谷北線走行を撮るため。先述の通りこの区間のキハ40は正確には代走ではないものの、キハ54のスペア的な役割のため、この代走(便宜上代走と呼ぶ)はいつ終わるかわからない。
宗谷北線を走るキハ40なんて次いつ走るかわからないので、紅葉とか関係なく抑えておきたい1枚だ。
しかし困ったことに、この後キハ40が出庫してくる保証がない。
もしかしたらキハ54が出てくるかもしれない。これはある種のコスパの悪い賭けだったのだ。
 
10分後、蔵のシャッターが開いた。
 
蔵のなかから出てきたのは、、、
 
 
ヨンマルだ!!!
 
 
 
勝った。計画通り。日頃の行いがいいからだ。
これがキハ54だったら帰るつもりだったが、これにより無事僕の音威子府行きが確定した。
にしても16時過ぎとは思えない暗さである。
 
 
 
まずは名寄の隣駅、宗谷線らしさ溢れる日進の朝礼台ホームと絡めて。
この駅もいつ無くなるかわからないので、いい記録になっただろう。
 
頑張れば追っかけもできたが、路面も凍っており危ないので安全第一で音威子府へ。
 
 
キハ40型定期運行最北の地、音威子府の駅名標とともに1枚。
 
 
 
帰りは智恵文の貨車駅舎と絡めて。
 
 
 
 
2時間半の旅を終え、名寄に帰ってきた。
ヨンマルは音威子府までもう1往復するが、終電の時間があるので往路だけ撮って終了する予定
しばらくすると旭川からのH100型普通列車がやってきた。
H100型とキハ40の並びって意外と撮れないので何が来るのかとワクワクしていると、まさかのラッピングが来た。ほんとは通常色が良かったが、H100のラッピング車との共存期間もあまり長くなかったので、いい記録になったと思う。
 
音威子府行き普通列車の発車時刻が迫っていたのでそろそろ先回りするために名寄駅を出ようとするが、待てど暮らせど普通列車のドアが開かない。ついには発車時刻を過ぎてしまった。
 
絶対何かあったな。
正直、嫌な予感しかしない。
 
輸送社員に聞いてみた
 
「ワイパーが壊れたので運行できません」
 
終わった。今日の任務終了。
数分後、なんとか治ったみたいだが既に後の祭り。音威子府行き普通列車はかなりの遅れを引きずって名寄駅を後にした。撮りに行ってたら最終の特急に間に合わないので、非常に不覚であるが諦めることにした。
 
その後、セコマで晩飯を調達し車を名寄の駅前で降ろしてもらい、最終の札幌行特急で帰った。家に帰った頃には日付が変わっていた。
 
これで僕の週末は終わった。また明日から高校である。
 
余談であるが、大好評だった【電車撮ってたら彼女にフラれた話】はこの翌日、月曜日の出来事である。詳しい内容はこちらをご参照いただきたい。
 
 
これが決定打となって半月後破局に繋がったのは言うまでもない。
ちなみになんとなくお分かりだと思うが最後まで水族館に行くことはなかった。というか現在に至るまでAOAO  SAPPOROに行ったこともない。
 
俺は電車なんや。
 
皆さんは私のように恋人より趣味を優先しカンカンに怒らせることのないよう、充分に注意していただいて終わりの挨拶としたい。
ご清聴ありがとうございました。

 

2025年10月29日