公約を破った国会議員をクビにしたい!(代表) | 『てっし録(^▽^)』~書法で人生を豊かに生きよう!

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Q.「A法案には絶対反対」という公約を掲げながらA法案に賛成票を投じた国会議員を辞めさせるべきだと思います。

「公約破りの国会議員を選挙人によって罷免(リコール)できる」という法律をつくれないのでしょうか?

 


A.つくれません。
 そのような法律は憲法43条1項、51条等に反して違憲です。

理由は、以下の3つです。


①憲法43条
国会議員は「全国民を代表」します(憲法43条1項)。
つまり、憲法は、国会議員に「国民全体の立場から行動すべし」とい義務を課しています。
国会議員は、単に地元の利害の代弁者ではありません。

リコール制を導入すると、国会議員は特定の選挙区の“あやつり人形”となってしまいます。
地元への利益誘導(ex.選挙区に新幹線の駅をつくる等)こそ政治家の仕事たど思い込んでいる国会議員は、その考えを改めなければなりません。


②憲法51条
憲法は、国会議院に
免責特権(憲法51条)を付与しています。
国会議員は衆議院・参議院での活動について、選出母体に対して法的責任を負いません。
憲法は、国会議院に対して院内での発言等をなす自由を最大限に保障することで、国家全体のために働かせようとしています。


③前文、1条
リコール制は国民主権原理(前文・1条)に反します。

「国民主権」の主要な役割は、政治権力の正当性の根拠づけです。
 ※国会議員たちが作った法律がなぜ正しいのか?
   →国民主権原理の下で作られた法律だから。

「国民主権」だからといって、国民が直接国の政治のあり方を決定できる、というわけではありません。

もし、「国民主権」=国民(有権者)は政治的意思決定権を有する。
→そのために直接民主制(リコール制など)を採用すべし。

としてしまうと、
国民の多数派によって少数者の人権が虐げられる危険性があります。

憲法は人権保障のための法です。
人権に脅かすような「国民主権」は採用しません。
 ※「真理は少数に宿る」(湯川秀樹)。


【注意】
ただし、国民の意思はできるだけ正確に国会に反映されるべきです。
有権者の意思を全く無視した勝手な行動が許されるわけではありません。

公約に違反した政治家は、法的責任(裁判所に訴えれてクビになる責任)は負いませんが、政治的責任(次の選挙で落選するという責任)は負います。


《参考①》
憲法51条
…両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

憲法43条1項
 …両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

自由委任
 …議員の活動は選挙人の意思から独立したものであることが要請され、選挙人による責任追及は否定されるという考え方。

命令的委任
 …選挙人の意思に反した場合には、選挙人によって責任を問われるという考え方。

リコール制
…公職の地位にある者を、任期終了前に国民又は住民の発意によって、罷免・解職する制度。


《参考②》 地方との比較


国家レベル
 …「民意の統合」(統一的国家意思の形成)を重視します
 →国会議員のリコール制を採用できません。

・地方レベル
 …「民意の反映」を重視します。
 →地方議会の議員や長のリコール制を採用しています(地方自治法76条等)。

このようにして、国家レベルと地方レベルでバランスを図っているのですね。