今日の箇所(第二サムエル 2:12-32)には、指導者の無責任な態度は、悲惨な結果をもたらすということが示されています。

 

サウルの死後、イスラエルは2つに分かれて対立します。 戦いは、アブネルとイシュ・ボシェテの家来たちがヨルダン川の西のギブオンまで進んで行ったことによって始まります。 アブネルは、戦略的な要地であるギブオンを中心に、ヨルダン川の西を掌握しようと考えたのでしょう。 これに対し、ヨアブとダビデの家来たちも、ギブオンの池の周辺に陣を敷きます。

 

ギブオンで起こった王家同士の戦いは、自分の栄誉と威信を得ようとする軍の指揮官の軽率さによって始まります。 その場の思い付きで若い者たちに闘技させようと提案したアブネル、その提案を断らなかったヨアブの決定により、無実の兵士たちが空しくいのちを落とします。

 

戦いはダビデの家来たちが優勢となり、アブネルは逃げますが、この時、俊足ではあっても経験不足なヨアブの弟アサエルが、百戦錬磨のアブネルを追うのを止めず、結局、アブネルに殺されます。 「追うのを止めよ」というアブネルの忠告を無視し、無謀に飛び掛かった代償でした。

 

なおも執拗にヨアブに追われたアブネルは、休戦を提案します。 ヨアブは、戦いのすべての責任をアブネルに押し付け、角笛を鳴らして、それ以上の追跡と戦いを止めさせます。 この戦いで既に多くの成果を収めたため、これ以上の危険を冒す必要はないと判断したのでしょう。

 

一方、アブネルは一晩かかってヨルダン川の東に逃げます。 戦いの結果、ダビデの家来の戦死者はアサエルを含めて20人でしたが、アブネルの部下は360人も死んで深刻な被害を受けました。 ここまではっきりと神様のみこころが示された限り、アブネルも、神様がダビデを選ばれていることを認めざるを得なかったでしょう。

 

一方、ヨアブは、弟アサエルを失い、勝利しても喜べる状況ではありませんでした。 同族間の戦いは、傷を残すだけの辛い結果をもたらします。 無責任な指導者の無責任な決断は、結果的に、多くの人々を苦しめることになるのです。

 

神様の忠告を無視し、自分の我を通す傲慢さが、どれほどの悲惨な結果をもたらすかということを、あらためて教えられました。 自分の力と情熱に溺れず、どんな時も慎重に正しく見分けられるよう、主が助けてくださいますように。 争いを止め、力を合わせて霊的戦いに勝利する共同体を建て上げていくことができますように。 御霊の照らしと導きがありますように。